子作り治療 最前線

男女の産み分けは本当に可能なのか 人口授精なら80~90%

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 晩婚化で妊娠までのチャンスが減るほど、「もう、1人しか産めないかもしれない。可能なら望む性別の子供が欲しい」と思うのは自然な感情だろう。

 自然の状態で生まれてくる子供の性別の出生比率は、女の子100人に対して男の子105人とされる。産み分けは、どこまでできるのか。不妊治療専門施設「はらメディカルクリニック」(東京都渋谷区)の原利夫院長が言う。

「家庭での産み分け法を行った場合の成功率は60%、病院でタイミング指導を受けた場合では70%、人工授精による産み分けでは80~90%にアップします。ただし、人工授精は妊娠率自体が5~10%程度で高くはありません」

 産み分けは、昔であれば「長男の嫁だから男の子が欲しい」と跡継ぎを求めるケースが多かったようだが、いまはそのような希望理由はほとんどない。妻の意見が強く、「1人しか産まないのなら女の子」と、産み分けを希望する8割方は女児を求めるという。

 基本的に、赤ちゃんの性別は性染色体の組み合わせで決まる。人間の23組のうち22組は常染色体で、残る1組が性染色体になる。卵子の性染色体は「X」の1種類しかないが、精子にはX染色体を持つ「X精子」とY染色体を持つ「Y精子」の2種類が存在する。X精子が受精すれば受精卵は「XX」となり女の子が生まれ、Y精子が受精すれば「XY」となり男の子が生まれる。

 つまり、X精子とY精子のどちらが先に受精するかの競争で性別が決まる。そして、両精子はそれぞれ異なる特徴がある。産み分けは、この特徴をうまく利用するのだ。

「X精子は比重が重いので、運動スピードではY精子に勝てない。しかし、X精子には寿命が長いという特徴があります。また、産生される精子の数ではY精子が勝り、1回の射精における割合の多さで寿命の短さを補っているのです」

 女性の体内pH(ペーハー)も関係する。精子が最初に通過する腟は、病原菌の侵入を防ぐため強い酸性に保たれている。腟を抜けた先の子宮頚管、子宮、卵管はアルカリ性の環境が続いている。X精子は酸性に強い特徴があり、Y精子は酸性に弱いがアルカリ性の環境では運動能力がアップする。

 これらの特徴を踏まえて、どちらの精子に有利になるセックス(タイミング、挿入の深さ、体位など)をするかで、産み分けの成功率を高めるという。次回は、家庭でできる産み分けセックスのポイントを取り上げる。

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