マイタケがノロウイルスの感染を予防する? 中部大学工学研究科の林京子客員教授らが動物実験を行った。
教授らはマウスにマウスノロウイルスを感染。マイタケ子実体乾燥粉末を与えたところ、マウス腸管内でのウイルスの増殖が抑制され、ウイルスの排泄期間が短縮した。マウスの免疫機能が正常な時も低下している時も同様の結果を示した。
ノロウイルスは、今のところ感染予防や治療対策はない。マイタケの実験結果は期待が持てるものの、動物実験の結果。では、感染といえば免疫機能がよく結び付けられるが、免疫の要といわれる腸内環境を整えることで、ノロウイルス対策にならないのか?
「“腸内環境を整える”というのは、非常にフワッとしたあいまいな表現です」
こう話すのは、おおたけ消化器内科クリニック・大竹真一郎院長。
「腸内環境がさまざまな病気と関連していることはハッキリしていますが、どの病気にどういう菌が効くかについては、ほぼ分かっていません。すべての病気に効く菌、というのもありません。ですから“腸内環境を整える”といっても、目的に応じて違ってきますし、何をどうすればいいか分からないケースがほとんど」(大竹院長)
たとえば、肥満に腸内菌が関係することは分かっている。動物実験で、太ったマウスの便を痩せたマウスに移植すると、痩せたマウスは太り、またその逆も言えた。しかし、この肥満を招く腸内菌は、インフルエンザなどの感染症予防に役立つ菌とは別だ。
「ある乳酸菌は、給食でその菌が入ったヨーグルトを数カ月にわたって食べさせた群と、食べていない群を比べたところ、食べている群の方がインフルエンザの発症率が低かった。しかしこれも、数カ月食べ続けなければならない上、食べれば感染を防げる、ということではありません」(大竹院長)
要は、「○○○を取れば腸内環境が整い病気にならない」と妄信しないこと。特に食材においては、あくまでもマウスの結果で、人間に対して完全に証明されているわけではない、と念頭に置く。“そんなの知ってる”と思う人ほど、一度ハマると大金を延々と投じてしまうかも。
「私自身は人に話す時、『ある程度効果が証明されていて、弊害がない』『既存治療を邪魔しない』などをクリアしているものだけに限っています」(大竹院長)
マイタケも、効能よりおいしさを求めることが、賢い食べ方だ。