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デスクワーク中心…座りっぱなしが健康に悪いって本当?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 1日の座る時間の長さは、日本人は世界トップクラス。欧米諸国では座り過ぎは問題視されており、健康に悪いといわれています。

 オーストラリアの研究によると、座っている時間が1日に11時間以上の成人は、4時間未満の成人と比べて死亡するリスクが40%も高まる結果に。座っている時間が長く、体を動かさない人は、ウエスト周囲径が大きく、HDL(善玉)コレステロールの数値が低く、中性脂肪が高いなどの脂質異常が多い傾向にある。

 これでは肥満や糖尿病の危険性も高くなります。高血圧症や心筋梗塞、脳梗塞、がんなども誘発し、死亡リスクを上げることも明らかになっています。余暇時間に活発な運動をしている人でも、座ったままの時間が長い生活を送っていると、検査値が悪化することも分かっています。

 立ったり歩いたりすると、脚の筋肉が収縮。筋肉の細胞内では血液中から糖や中性脂肪が取り込まれ、エネルギーとして消費される「代謝」が盛んに行われます。

 一方、座っていては全身の代謝機能を支えてきた脚の筋肉が活動せず、糖や中性脂肪が取り込まれにくくなって血液中で増加します。さらに全身を巡る血流が悪化し、血液がドロドロになってしまう。加えて、座るとすぐに筋肉の運動量が減るため、カロリーの消費率は歩いている時の3分の1になります。

 1日8時間以上座っている人は、罹患リスクや死亡リスクが高まる可能性があるといえるでしょう。今の生活を続けながら座ることによるリスクを防ぐためには、1時間に1度は最低でも2~5分立つこと。そして1日30分は体を動かすこと。ブレークタイムを取れない時は、座ったままかかとを上げ下げしたり、膝を伸ばして脚を上げた状態でつま先をまっすぐ伸ばしたり直角に立てたりする運動を行うようにしましょう。

▽〆谷直人(しめたに・なおと) 国際医療福祉大学熱海病院検査部部長。日本臨床検査医学会認定臨床検査専門医・臨床検査管理医

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