病み患いのモトを断つ

岡崎体育は併発入院 ノロ&インフルのピンポン感染を防ぐ

インフルエンザの流行は「警報レベル」
インフルエンザの流行は「警報レベル」(C)日刊ゲンダイ

 冬の感染症が猛威を振るっている。インフルエンザの流行は「警報レベル」で、今月13日までの1週間の患者数は約163万人、前の週の3倍に急増。学級閉鎖や休校も相次ぐ。集団感染を起こした群馬や新潟では、死亡例も報告されている。宮崎や群馬、岐阜などでは、ノロウイルスに代表されるウイルス性胃腸炎の被害も増えている。

「ウイルス性胃腸炎とインフルエンザA型を併発してしまい、ライブ(18日の大阪公演)を中止して緊急入院しました」

 今月21日、自らのツイッターで突然の公演中止を謝罪したのは、シンガー・ソングライターの岡崎体育だ。

 インフルもノロも、入院が必要な重症例は、乳幼児や高齢者が一般的。インフル定点調査だと、入院患者は80歳以上と10歳未満で58%に上るが、岡崎は29歳。ダブル感染は極端にせよ、若い人も体調次第では重症化するということだろう。

 岡崎は一時、「熱が42度近くまで上がり、意識混濁状態だった」という。

■意外に役立つのはお茶と牛乳パック

 高熱や関節痛に苦しめられるインフル、下痢と嘔吐に加えて発熱もあるノロ。どちらも感染者を周りの人が看病しているうちにピンポン感染しやすいから厄介だ。予防はどうするか。聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック」院長の西崎統氏に聞いた。

「インフルエンザの予防は、ワクチンを接種した上で、マスクと手洗い、うがいが基本。意外に侮れないのが、30分に1回お茶を飲むこと。風邪やインフルの患者さんが殺到するこの時季、お茶飲みを実践する医師は少なくありません。のどの乾燥を防ぎつつ、患者さんが持ち込んだウイルスを洗い流すイメージです」 ノロは、消化器系の症状が中心で、呼吸器系ではないが、看病する人はマスクが不可欠という。

「ノロウイルスは、二枚貝などに潜んでいて、生ガキなどが媒介します。感染者が吐いたりすると、周りの人が掃除したときに手や指にウイルスが付着し、気づかずに鼻をこすったり、口をぬぐったりして感染する。嘔吐物を掃除したつもりでもウイルスは乾燥に強い。から拭きから1週間後に集団感染を起こしたこともあります。汚染箇所の近くをだれかが通ると、ウイルスが舞って、それを吸い込むことで感染するのです。ですから、ゴム手袋で汚物処理して手洗いするのはもちろん、マスクも欠かせません」

 ノロは、患者の便1グラムに10億個、嘔吐物1グラムに100万個いて、100個以下で感染するとされる。爪の先にわずかに付着しているだけで感染するのはそのためだ。

「感染者は吐いた口元を拭いたり、ぬぐったりした手であちこちに触れます。トイレのドアノブや水洗レバー、水道の蛇口、テレビやエアコンのリモコン、タブレットのスイッチ……。自宅やオフィスのあらゆるところにウイルスが付着しています。感染した子供を看病した妻が2次感染し、最後に夫が感染するようなピンポン感染がしばしば起こるのは、看病した人が汚染部位に触れやすいためなのです」

 患者の枕元には、空の牛乳パックを用意しておくと便利だそうだ。嘔吐物の飛び散りを防ぎ、看病する人は臭いなどをブロックして“もらい嘔吐”せずにトイレに捨てやすい。飛び散ったところを拭き取ったら、塩素系洗剤で水拭きして除菌する。濃度は、家庭用漂白剤10ミリリットルに水1リットルだ。

「ノロに感染したとき、下痢止めを飲むと、かえって回復が遅れます。下痢と吐き気で水も飲めないほどひどいときは、病院での点滴が必要です。また、インフルの薬を服用して2日経っても熱が下がらないと、肺炎の恐れが高い。すぐに再受診してください」

 岡崎のようなこともあるだけに、このくらいは頭に入れておこう。

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