ステージⅣがん治療を断るとどうなる

医師が終末を宣告。しかし気力、生活に変化は少しもない

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 日本酒と生薬によるマッサージは、どちらも以前、取材で知った。これでがんを克服した例を私は知らないが、その効き目を実感していた。日本酒マッサージを有名にしたのは、プロ野球・中日ドラゴンズの谷沢健一選手。アキレス腱痛に苦しみ、引退を覚悟していた時に出合い、その後、彼は完全復帰。再び首位打者になった。

 日本酒にはアミノ酸やペプチド、有機酸、酵母菌、ミネラルなど約100種類もの成分が含まれている。日本酒を患部に塗り、指圧でゆっくりとこすり続け、患部の毒素を出す。生薬マッサージは、生薬のみの入浴剤を浴槽に入れ、入浴しながら生薬の入ったパックの入浴剤を患部にすり込みマッサージする。代謝が良くなり、免疫力はアップする。多くの医師は代替療法を“科学的根拠がない”と最も嫌う。

 医師からは退院当日、「終末期に入ってる」と言われた。

「最期をどのように迎えるのか、どうするのか考えておくといい」

 そして、医師は嚥下(えんげ)テストをした。コップ1杯の水を飲めと。入るわけがなく、医師と看護師の前でむせて吹き散らした。医師は「栄養が取れるよう処方箋を出しときます」。それは「エンシュアH」というタンパク質を主体とした缶入りの液状の栄養剤だった。看護師ですら「飲めないのでしょう」と言うのに、だ。さらに医師は言った。

「私には飲み込めない状態が分かりませんが、頑張ってみてください」

 心ない言葉に聞こえた。

 退院後、家に息子夫婦が見舞いにやって来た。持ってきたのが目黒・蛸薬師の御撫石(おなでいし)だった。「信じて願えば何でも治る」といわれる御撫石。黒い石で、これで御真言を唱えながら毎日1時間以上患部をなでると諸病に効能があるという。“願をかけた”石に込められた気持ちが、副交感神経の働きを良くすることは間違いない。毎日行っている。

笹川伸雄

笹川伸雄

ジャーナリスト。1946年、宮城県生まれ。医、食、健康のジャンルを得意とし、著書に「妙薬探訪」(徳間文庫)など

関連記事