市販薬との正しい付き合い方

虫刺されの外用薬「ステロイド」が含まれているかを確認

毛虫
毛虫(C)日刊ゲンダイ

 一般の薬局やドラッグストアで購入できる市販医薬品=OTC医薬品の代表例として、「虫刺されの薬」をイメージされる方も多いのではないでしょうか。

 スズメバチやチャドクガの毛虫といった重症化する危険がある虫に刺されない限り、わざわざ病院に行こうという人は少ないと思います。虫に刺されたときは薬局で虫刺されの薬を買って処置するケースがほとんどでしょう。

 この虫刺されの外用薬(塗り薬)にも、セルフメディケーション税制の対象になるものがあります。今回は、虫刺されの外用薬の特徴と選び方について紹介します。

 虫刺されは、かゆみや腫れといった炎症症状を引き起こす「虫の毒」への接触が原因となります。炎症の強さは毒の強さと体の反応性によってまちまちですが、ひどい場合には死に至ることもあります。ですから、虫刺されの外用薬で対応できるのはあくまで軽度な場合で、良くならない場合や炎症が強い場合には速やかに医療機関を受診してください。

 それを前提にしたうえでOTC医薬品を選ぶ際のポイントは、まず「造形」があげられます。虫刺されの外用薬は、液体のもの、クリーム状のものなどさまざまなタイプが発売されています。薬剤の保持力は「固い」方が高いのですが、使用感もありますので好みで選んでも大きな問題はありません。

「成分」を見た場合、薬ごとの大きな違いは「ステロイド」を含むか否かという点があげられます。腫れや赤みが強いときは、一般的にはステロイドを含むタイプの方が良いとされています。

 例えば、「ウナ」にも「ムヒ」にもステロイドが含まれるタイプと含まれていないタイプがありますので、症状によって使い分けるといいでしょう。

 また、痛みやかゆみを感じさせなくなるように「局所麻酔薬」(リドカインなど)や、「メントール」(ハッカ)、「カンフル」といった清涼感に関係した成分にも違いが見られます。これも使用感の好みによって選んでも問題ありません。

 これからますます暖かくなり、お花見やバーベキューなど野外で活動する機会が増える季節です。虫に刺されて外用薬を購入する際は、「ステロイドの有無」と「使用感」をポイントに選びましょう。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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