ニューヨーク州ロックランド郡といえば、ニューヨーク市のすぐ北の通勤圏で30万人が住み、富裕層の高級住宅地も多いエリア。ここで、「はしか」の大流行による非常事態宣言が3月26日に出されました。
はしかはアメリカでは2000年までに排除が宣言され、00年代初めには患者は年間数十人程度でした。ところが11年ごろから再び患者が増え始め、14年には年間700件近くなる大流行が見られました。
そして昨年の秋ごろからアメリカ全土で再び流行が始まり、今年になってからの約3カ月で、15州314人の患者が確認されています。
そのうち48人がロックランド郡。ここでの昨年10月からの患者のトータルはすでに155人に上っていますが、8割以上は予防接種を受けていない子供たちでした。
ロックランド郡には超正統派ユダヤ教徒の大きなコミュニティーがあり、宗教的な理由から子供たちは予防接種を受けておらず、患者もその地域に集中しています。
さらに、予防接種が自閉症の原因になっていると信じる親たちが、子供に予防接種を受けさせないケースも増えています。それが近年のはしか流行の原因になっているとされているのです。
14年の大流行では、予防接種を受けていない人がカリフォルニア州のディズニーランドを訪れたため、周りの子供たちが次々に感染し、大流行につながったことが分かっています。
事態を重く見たロックランド郡では非常事態宣言と同時に、予防接種を受けていない6000人の子供たちの学校を含む公共の施設への立ち入りを禁止するという思い切った措置に出ました。
アメリカでは予防接種反対派の親のグループが、ボイコットのためにSNSなどを使って過激な情報を発信したり、ほかの親に嫌がらせをしたりするなどのケースが社会問題になっています。
一方で、予防接種を受けない少数の子供のために、自分の子供が病気になってはたまらないという親たちの反発も強まっているのが現状です。
ニューヨークからお届けします。