性感染症最前線

エイズ<6>HIV郵送検査を利用するなら 信頼できる5つの条件

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写真はイメージ(C)PIXTA

 治療法の進歩でHIVに感染しても、1日1回1錠の服薬でエイズを発症することなく健康を維持して生きていけるようになった。

 また、治療でウイルス量が検出限界値以下になっていれば、セックスをしても他人にうつすこともない。

 このような流れから、世界的にもWHO(世界保健機関)や国連合同エイズ計画はHIV検査を受ける人を増やすことに注力しており、日本も同じだ。

 では、どのような取り組みが進められているのか。

 性感染症専門施設「プライベートケアクリニック東京」(新宿区)の尾上泰彦院長が言う。

「HIVに感染する機会があった人が、なかなか検査に行かないのは『多忙で病院や保健所に行けない』『検査を受けたことを他人に知られたくない』などが理由。そのため、厚労省研究班としては、検査を受けにくい人には民間のHIV郵送検査を有効活用してもらい、『プレ検査』として早期発見・早期治療につながるように検討を進めています」

 HIV郵送検査とは、ネットなどから検査キットを購入し、自分で血液を採取し、検査会社に送付するスクリーニング検査のこと。自宅で簡単に検査できるので利便性が高く、近年、右肩上がりで利用者が増えている。

 2017年の検査数で見ると、保健所などが12万3432件で、郵送検査は9万9838件だ。

 現在、HIV郵送検査を行っている国内の検査会社は13社。しかし、検査精度や個人情報管理などの基準がなく、国の承認制度もなかった。

 その辺は、どう担保されているのか。

「厚労省はHIV郵送検査を信頼性が高く、安心して受けられる検査とする目的で『HIV検査受検勧奨に関する研究』という研究班を立ち上げました。その下で17年に基準となる『HIV郵送検査の在り方について』が作成され、毎年、精度調査が行われています。現在はガイドラインづくりが進んでいます」

 ただし、現段階では検査の信頼度が会社によって大きく異なるという問題点があり、「優良な郵送検査」と判断するための5つの条件が、研究班運営のウェブサイト(HIV検査マップ)に明記されている。

 それは、①「検査結果が他の人に知られることがない(性風俗店の団体検査は要注意)」②「第三者による検査精度チェックが定期的に行われている」③「HIV感染症の基本的な知識など必要な情報がわかりやすく提供されている」④「検査方法や結果について相談窓口がある」⑤「確認検査を受けられる保健所や医療機関に関する情報や連携システムがある」だ。

 HIV郵送検査を利用するなら、これらの条件を明確にしている会社を選ぶようにしよう。

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