90歳現役医師 最強の体調管理

保険適用されるのか?男性ホルモン補充注射は1回1万~2万円

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写真はイメージ(C)PIXTA

 元気で充実した生活に欠かせない男性ホルモン(テストステロン)補充療法だが、具体的にはどのようにすれば受けられるのだろうか?

「まずはメンズヘルス外来、男性更年期外来、もしくは泌尿器科外来に電話で連絡を入れてみましょう。そして、『男性ホルモン(テストステロン)値を測って欲しい』と言えば、実施しているかどうかがわかります。そこで血液を採取して検査をします」

 そこからの手順はどうなのか。

「医師の側は、ただ血液を採取して男性ホルモン値を測定するだけではありません。仕事や生活の様子、心身の状態を尋ねるアンケートを書いてもらったり、詳しく問診をしたりして、その人の健康状態、生活活力などを探ります。男性ホルモン値が標準より低めでも、何の問題もなく元気に過ごしている人もいれば、男性ホルモン値は比較的高いのに、困った状態にある人も少なくありません。単なる数値ではなく、その人にとって高いか低いかが問題なのです。男性ホルモン値が高いと前立腺がんになりやすいという説もありますが、不安だという声に応え男性ホルモン値の検査を行うときに、前立腺がんの兆候を調べるPSA検査を同時に行うのが普通です。その結果、問題が見つかればそちらをまず治療した方がいいでしょう。1~2週間後に測定結果が出るので、あらためてクリニックを訪れ、医師の説明を受けてください。自分の状態を知り、必要があれば早めに対策を取るためにも、必ず詳しい説明を聞きましょう」

「メンズヘルス」や「男性更年期」を看板に掲げている病院なら安心だという。

 気になるのはいくらくらい料金がかかるか?

「男性更年期の疑いがあれば保険適用で検査ができますので、初診料や診察、検査を含めて3割負担でだいたい5000~1万円前後の病院が多いでしょう。そして、問題になる症状がないと全額自費負担になりますので、それこそ病院によってまちまちです。電話をして聞いてみるといいでしょう」

 検査の結果、男性ホルモン値が下がっていると判断されると、多くの場合は2週間に1度、注射によって補充療法が行われる。下がり方が極端な場合は、毎週行うなど、ペースを上げることもある。もちろん、落ち着いてきたら月に1回程度に減ることもある。

「半年ほどで改善が見られますが、その症状も人それぞれ。私たち医師は、その人の状態を総合的に見ながら適切な治療法を判断します。こちらも費用は1回当たり1万~2万円程度。1998年から男性ホルモン値の検査と補充療法に健康保険が適用されています。ただ、はっきりとした自覚症状がないと適用されなかったり、補充療法の回数や期間が決められていたりなど、何かと制限があります」

 テストステロンについては著書「『男性医学の父』が教える最強の体調管理 テストステロンがすべてを解決する!」に詳しい。 =おわり

 (構成=中森勇人)

熊本悦明

熊本悦明

1929年、東京都生まれ。東京大学医学部卒。日本メンズヘルス医学会名誉理事長、札幌医科大学名誉教授。現在は「オルソクリニック銀座」(東京・中央区)で、名誉院長として診療中。近著「『男性医学の父』が教える 最強の体調管理 テストステロンがすべてを解決する!」(ダイヤモンド社)がある。

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