【Q】根の治療を受けていて「なかなか改善されないので外科的な治療に移りましょう」と言われました。どんな治療なのでしょうか?
【A】通常の根管(神経の通っている道)治療を行っても症状が改善されない場合に用いる「外科的歯内療法」(外科的な根管治療)のことです。
歯の根の形は非常に複雑で、しかも迷路のように張り巡らされている根管の中に、口内の細菌が侵入していきます。そのため通常の根管治療には限界があり、たとえ歯内療法の専門医が治療したとしても細菌を100%取り除くことは不可能だともいわれています。そして、細菌が繁殖して歯の根の外に病変をつくることがあるため、細菌の通り道となる歯の根の先端部位を取り除いてしまうのが、外科的歯内療法です。
「歯根端切除術」と「意図的再植術」の2つの方法があり、歯根端切除術は歯肉を切開して根の先端をカットする方法で、意図的再植術は一度抜歯して先端をカットしたあとに、また元の位置に戻す手術です。カットした部分は特殊な歯科用セメントで覆いますので、新たに病巣がつくられる可能性がなくなります。
ぜひ覚えておいていただきたいのは、確実に通常の根管治療を行うことが根の治療では最も大切です。それでも、何かの原因で重篤な症状を引き起こしてしまった場合に選択されるのが、今回ご紹介した外科的歯内療法なのです。
20代の女性患者さんで、別の歯科医院で神経を取ったものの通院せず、ほったらかしにして過ごしてきた方がいました。結果として激しい痛みと腫れが生じて来院されたのですが、CT撮影すると親指先くらいの嚢胞(のうほう=膿の袋)ができていました。あまりにも大きかったので大学病院の歯科口腔外科に紹介状を書き、嚢胞の摘出と歯根端切除術をしていただきました。ほんの数回で済ませられる最初の処置を適切に完了してもらっていたら、こんな大げさな手術を受けなくて済んだのに……と思います。
何度もお話ししていることですが、自分の歯を大切にしていくために、毎日のケアや予防が重要です。
(構成=小澤美佳)
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