【Q】 先日、歯医者さんに10分遅刻していったところ、予約の取り直しをさせられました。たった10分なのにあんまりです。
【A】 歯科医院のほとんどは完全予約制です。私の診療所でも15分以上の遅刻をされた方は、どんな理由があってもその日の診療はお断りしています。
たとえば内科の場合、診断がついて治療方法さえ決まれば、次の診察からは「問診」→「薬の処方」という流れで終わる場合が多いでしょう。しかし歯科は違います。歯科医師や歯科衛生士が毎回手を動かして治療を行うケースがほとんどで、そのための機材や材料を準備し、アシストするスタッフを配置して初めて処置が行われます。
軽い虫歯の処置の場合、「麻酔」→「歯を削る」→「詰め物をする」→「研磨」という一連の作業になりますが、ベテランでも30分はかかります。抜歯の場合も、麻酔が完全に効いてから抜き、止血を確認して処置が完了するまでにはそれなりに時間がかかります。
歯科では処置にかかる時間を想定して患者さんに予約していただくため、治療開始時間が遅れると時間内に処置が終わらなくなってしまいます。そのシワ寄せは次の患者さんに及び、時間通りに来た方をお待たせすることになるのです。
数年前の話になりますが、前の患者さんが長引いて60代の男性患者さんを15分お待たせしたことがありました。その方は受付に「二度と来ねーよ!」と吐き捨てて出て行かれました。時間通りにいらっしゃったのに本当に申し訳なかったと思い、それをきっかけに次の患者さんに迷惑をかけないよう15分遅刻した方にはお帰りいただくことにしたのです。
10分の遅刻でも予約を取り直してもらう医院もあるようです。患者さん側も“プロの患者”として、ドタキャンしない、時間に遅れないということをモラルとして守っていただきたいと思います。
失うのは時間だけではありません。その医院のスタッフとの信頼関係が崩れてしまうことでもあると理解していただき、もしどうしても間に合わない場合は電話を1本入れていただければと思います。
(構成=小澤美佳)
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