セックスが痛い

激しいピストン運動や射精はいらない…挿入なし性交の勧め

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 中高年の“セックスの壁”は、主に2つあります。女性の「性交痛」と、男性の「ED」です。

 女性は更年期以降になると、性器の潤い不足から性交痛を感じやすくなります。痛いからセックスしたくない。するとパートナーは「性欲がない」と勘違いする。女性の中には次第に「性欲がなくなった」と思うようになる人もいるでしょう。

 でも、ちょっと考えてみてください。痛みがなければセックスでき、お互いに「性欲がなくなった」なんて結論に至らなくても済むかもしれないのです。残念なのは、「痛いのが嫌なら、セックスレスしかない」と感じてしまうこと。

 ほとんどの場合、女性が痛みを感じるのは挿入に関してです。もし、挿入にこだわらなければ、セックスが可能かもしれない。EDが中高年男性のセックスの壁なら、お互いに挿入なしで気持ちよくなれるセックスを模索するのもひとつの手です。「射精しなければ」と思う男性がいるかもしれません。でも、それが重要なのは生殖目的のセックスです。お互いの喜びのためのセックスには挿入・射精は不可欠ではないのです。

 一方で、女性側も「セックス=挿入」と思っているケースがほとんどだと思います。長年の固定観念を覆すのは、どちらも勇気がいることでしょう。お互いに「別の形のセックス」を試してみようという気持ちがあれば、相手に伝え、ぜひ行動に移してほしい。

セックスレス時代の中高年『性』白書」(日本性科学会セクシュアリティ研究会)によると、性の喜びの中心はスキンシップ。特に女性が感じやすいのは、性器、乳房、そして皮膚全体といいます。挿入以外でも、十分喜びを感じられるのです。中高年の男性を悩ます激しいピストン運動や、射精を気負う焦りもなく、リラックスして、疲れないセックスができるのです。今までにない達成感があるかもしれませんよ。

 性交痛やEDは、加齢とは関係なく、病気が原因で起こることも。挿入・射精なしのセックスもあり――。これは、生活の知識としても大事だと思います。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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