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新型コロナで大パニック NY病院ではゴミ袋が医療用ガウン

ニューヨーク州で新型コロナウイルスの検査を受けるため医療機関の外に並ぶ人々
ニューヨーク州で新型コロナウイルスの検査を受けるため医療機関の外に並ぶ人々(C)AP=共同

 アメリカ、特にニューヨークは世界の新型コロナウイルス感染の新たな震源地となり、死者の数も急激に増加。その主戦場である市内の病院はどこもほぼパンク状態になっています。

 3月下旬の時点で、予想されたニューヨークの感染ピークは4月半ば。その際に押し寄せるであろう重症者の大波にのまれないために、感染カーブをできるだけ緩やかにする。そのためニューヨークは3月半ばにロックダウンに入り、食料や薬など必需品の調達以外の外出を禁止にすることで感染のスピードを緩める。そうやって時間稼ぎをしている間に、圧倒的に足りないベッド数を補うための仮設病院の設営から、不足物資や人員の調達などを行う――というのが当初の計画でした。

 ところが感染カーブが予想を上回るペースで上昇すると同時に、市内の複数の病院の医師や看護師らからは、「マスクやガウン、そしてベッドもすでに足りない」という悲鳴が聞こえ始めました。

 中でも市民にショックを与えたのは、ソーシャルメディアで拡散されたある写真です。それは感染を防ぐための使い捨ての医療用ガウンの代わりに、黒い大型のゴミ袋に穴を開け、ポンチョのようにかぶって仕事をする看護師たちのスナップでした。 

 撮影されたのは市内でも屈指の大病院マウント・サイナイ・ウエスト。そして同じ頃、新型コロナに感染した同病院の副看護師長(48歳男性)が命を落としたのです。

 地元紙ニューヨーク・ポストに取材を受けた同僚の看護師らは「彼が感染したのは十分な防護用具がなかったから」「使い捨てのはずのマスクやガウンを使い回すように指示を受けていた」と証言。病院側はそれを否定しています。

 一方で、物資の不足についてほかのメディア取材に応じた別の病院の看護師が、病院側から警告を受けたという報道もあり、医療従事者の安全を守るための情報共有よりも、病院のメンツを守ろうとする隠蔽体質が大きな批判を浴びています。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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