時間栄養学と旬の食材

栄養が豊富 イチジクが「不老不死の果物」と呼ばれる理由

イチジク
イチジク

 イチジクは夏から出回り始め、9月に旬を迎えます。今まさに、はしりの果物だといえます。

 イチジクは実の内側に花をつけて、外側からは花が見えないため「無花果」という漢字が当てられているのです。そんなイチジクですが、「不老不死の果物」とも呼ばれていて、さまざまな栄養素が含まれています。

 まずは、「食物繊維」です。イチジク100グラム当たりには食物繊維が1.9グラム含まれており、そのうち0.7グラムがペクチンと呼ばれる水溶性食物繊維、1.2グラムが不溶性食物繊維です。ペクチンは水分を保持する性質があるので小腸において栄養素の消化吸収スピードを遅らせるのに役立ちます。また、不溶性食物繊維は腸の動きを盛んにし、便通を促す作用があります。この2つの種類の食物繊維をバランスよく取ることで腸内細菌の質を上げることができるという報告もあります。

「鉄」も見逃せません。全身に酸素を運ぶ働きがある、赤血球中に含まれるヘモグロビンの一部なので、貧血対策に重要な栄養素です。

 しかし、イチジクに含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれていて、ビタミンCと一緒に取ることで体内に吸収されやすい形(ヘム鉄)に変わります。イチジクを食べるときにはレモンを搾ったり、サラダと一緒に取るとよいでしょう。

 また、タンパク質を分解する酵素である「フィシン」も含まれ、タンパク質を消化しやすくします。そのためイチジクの果汁と一緒に肉をつけておくと肉が軟らかくなる効果があるので、安いお肉もおいしくすることができます。さらに、塩分を排出してくれる働きのあるカリウムや、骨や歯を丈夫にしてくれるカルシウムも入っています。

 糖質の量は1個当たり8.7グラム。リンゴ半分が14.3グラムであることから考えても、果物の中では少ない部類に入ります。

 これらの栄養素から時間栄養学的に考えると、夜におすすめの食材といえます。血糖値が上がりづらく、ミネラルが豊富。ひとつの夕食食材として活用してみてはいかがでしょうか?

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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