「夏便秘」はオリーブオイルがけキウイ 1日1個で乗り越える

キウイを1日1個食べるのがオススメ
キウイを1日1個食べるのがオススメ

 便秘といえば一年を通して起こりうる印象があるが、便秘外来の専門医である松生クリニック(東京・立川)の松生恒夫院長によれば「夏、特に真夏日や猛暑日を迎える時期になると一層便秘が増えます。これを私は“夏便秘”と呼んでいます」とのこと。理由と対策を聞いた。

 なぜ夏に便秘が多いのか? 松生院長は次のように説明する。

「一番大きいのは暑さによる発汗です。体内の温度調整のために発汗は非常に大事な機能ですが、これによって消化管の水分が失われ“腸の砂漠化”が起こる。すると便が硬くなり、便秘気味でない人でも便秘を起こしやすくなります」

 暑さで活動量が減るのも問題だ。動かなければ腸の働きが落ちる。今年は新型コロナウイルスの影響で、ただでさえ自宅で過ごす時間が増えるだろう。それが拍車をかける。また、夏で食欲が落ちて冷たい麺類など偏った食生活になると、快便に欠かせない食物繊維の摂取量が落ちる。

「食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、特に便を軟らかくして排便に至りやすくする水溶性食物繊維は、快便のために必ず取りたい栄養素。水溶性食物繊維が不足すると、便が出にくくなるばかりか、腸内細菌でつくられる酸の一種である短鎖脂肪酸をつくりにくくし、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスが悪くなります。免疫力低下にもつながります」

 さらに、暑くて不快指数が高まり、夜に熟睡できない……。こういった精神的・身体的ストレスも、腸の働きを低下させる。つまり夏は、便秘に至りやすい条件がいくつも重なっているのだ。

 最近は、便秘は寿命にも関係しているという報告もある。20歳以上の米国人3933例を消化器症状評価アンケートを用いて15年間追跡調査した結果では、便秘症あり622例は、便秘症なし3311例に対して、明らかに寿命が短かった。

■食物繊維の取り過ぎはかえって便秘を招く

 では、対策として何が有効か? まず覚えておきたいのが、安易に市販の下剤を使わないこと。大腸の粘膜を刺激し蠕動運動を強制的に起こして排便を促す刺激性下剤が多く、長期的に使っていると蠕動運動の働きが弱くなり、薬の量を増やさないと便意を覚えなかったり、便意そのものがなくなる。

「便秘対策で重要なのは食事です。中でも積極的に取ってほしいのは水溶性食物繊維です」

「食物繊維=便秘にいい」というイメージがあるが、食物繊維ならなんでもたくさん取ればいいわけではない。前述の通り、食物繊維には水溶性と不溶性があるが、便を軟らかくして排出しやすくする水溶性に対し不溶性は取りすぎると便の“かさ”が大きくなり過ぎる。便秘の人は蠕動運動の機能が低下しているため、便がスムーズに進まなくなり、便秘が悪化する恐れがある。

「私が慢性便秘の方にさまざまな食物繊維を食べてもらった結果、水溶性と不溶性の割合が1対2の食品がもっとも良い、と分かりました。いつでも手に入りやすく夏でも食べやすい食品としてお勧めしているのはキウイです。1日1個食べれば十分。腸管を刺激し排便を促す作用のあるエキストラバージンオリーブオイルをかけて食べると、なおいいでしょう」

 さらに松生院長が勧めるのが、味噌などの発酵食品。特に麹菌を含むものは、善玉菌であるビフィズス菌を増やし、腸内フローラのバランスを良くする。味噌汁、同じく発酵食品の納豆と、植物性乳酸菌の漬物、水溶性食物繊維が豊富なスーパー大麦ご飯の組み合わせで食べれば、最強の「夏便秘対策飯」になる。

 スッキリ出して、夏を乗り切ろう。

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