アメリカ大統領選まで3カ月を切り、現職の共和党トランプ大統領と民主党バイデン元副大統領の戦いが激しくなる中、ある候補者が医学界を騒がせています。第3党からの出馬を表明しているヒップホップアーティストのカニエ・ウェストに「双極性障害」の疑いがあるからです。
カニエ・ウェストが双極性障害かもしれないという説はこれまでにも話題となり、妻のキム・カーダシアン・ウェストもそれを認めるような発言をしたことがあります。今、それが蒸し返されているのは、最近の彼の行動と発言からです。
先月初めて開かれた支持者集会で、カニエが舞台上で「自分は過去にキムに中絶をさせようとし、娘を殺しかけたことがある」と突然泣き始めました。
さらに「キムとその家族が自分を拘束しようとしている」などとツイート。インタビューでは、新型コロナワクチンを「野獣の印」と呼ぶなど、これでも報道されているほんの一部です。
双極性障害は気分や態度の極端な変化が起きる心の病ですが、専門家によればクリエーティブな天才にしばしば見られるとのこと。
実はカニエに対し、別の意味でも注目が集まっています。それは、カニエほどのセレブリティーが心の病と闘っているという事実で、多くの人々にとって希望になっています。世界人口の11%が何らかの心の病を抱え、毎年6000万人ものアメリカ人が診断を受けている一方で、心の病を不名誉と考えたり、オープンに語るのはいまだにタブーだったりするからです。
アメリカではこれまで少なくない数のセレブリティーがうつの体験を公表し、ヘンリー王子とオプラによる心の健康をテーマにしたテレビ番組が制作段階にあるなど、「メンタルヘルスをもっと語ろう」という動きは年々高まっています。カニエもその動きに加わることが期待されています。
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