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5人に1人が感染「水虫」は「足白癬」という立派な病気だ!

写真はイメージ
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「日本人の5人に1人が感染している」

 そう推定されている「病」がある。といっても、コロナではない。「水虫」である。現在、日本の人口は約1億2500万人。5人に1人ということは約2500万人が「水虫患者」ということだ。症状はかゆみ、水膨れ、ただれなど、実に不快。だが、死に至る可能性はほぼゼロ、市販薬でも症状が改善、放置しても日常生活に決定的な支障をきたさないなどの理由からか、水虫が「病」という認識が一般的に乏しい。

 どこか可愛げな「水虫」という呼び名のせいかもしれない。その由来は、「菌」という概念がなかった時代、足にかゆみを覚えた農民が、田んぼの中にいる虫に刺されたと思ったからという説がある。医学的には「足白癬」。ちなみに英語圏では「Athlete's foot=運動選手の足」。カビの一種である白癬菌という真菌が足の皮膚に感染したもの。

 症状は足についた白癬菌が角質層に侵入することで生じる。股間ならインキン、ほかの部位ならタムシなどと呼ばれる。菌の侵入には一定の条件が必要とされる。「温度35度以上」「湿度90%以上」「長時間皮膚に菌が接触」「足のキズ」などだ。家庭では「足ふきマット」「スリッパ」「畳・カーペット」「衣類・寝具」などに菌が生息していて、これが家族感染を招くこともある。

 白癬菌が活発に活動するのは高温多湿のいま。水虫患者は「涼しくなれば治る」と軽視するが、それは間違い。気温、湿度が下がって、白癬菌の活動が弱まり角質層の奥に潜伏するだけ。その生命力は半端ではない。「特効薬を発明したらノーベル賞」といわれるほどの「病」なのだ。少しでも症状のある人は、専門医の診断を受け、我慢強く根治を心がけること。ネーミングに惑わされてペットと勘違いしないように。

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