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【桃】疲労回復に即効性あり ミネラルを取るなら夜に生で

ミネラルを十分に取りたい場合は夜に皮ごと生の桃を食べるのがいい
ミネラルを十分に取りたい場合は夜に皮ごと生の桃を食べるのがいい

 日本では、古くから「桃湯」が親しまれており、江戸時代から夏の土用には桃の葉を浮かべた湯に入ることで、あせもや湿疹の予防をする習慣があったそうです。

 私たちが食べる果実の主成分は水分、その中に含まれているのが果糖です。体内で代謝の過程を経ずにエネルギーとなるので、疲労回復には即効性のある栄養素。また、塩分の排出を助けるカリウムや、エネルギーを作り出すことにも関わっているナイアシン、老化予防に関わるビタミンE、食物繊維なども含まれています。

 桃100グラム当たりの糖質量は8.9グラム、エネルギーは40キロカロリー。他の果物と同量比較すると、皮をむいたリンゴの糖質量が14.1グラム、エネルギーが57キロカロリー、ブドウの糖質量が15.2グラム、エネルギーが59キロカロリーなので、果物の中では糖質もエネルギーも比較的少ない部類に入ります。

 しかし、缶詰の桃は甘いシロップで桃を漬けているため、缶詰の糖質は19.2グラムと、生と比べて2倍以上多くなります。また、カリウム、ナイアシンは水に溶けやすいため、シロップに流れ出て摂取量が少なくなってしまいます。糖質を多く取って体内時計をリセットするなら朝に缶詰の桃、ミネラルを十分に取りたい場合は夜に生の桃がよいでしょう。

 桃の皮にはカテキンが含まれます。カテキンは、抗酸化作用、殺菌作用を持ち、細菌から体を守ってくれる働きがあります。

 さらに、実と皮の間が一番甘いといわれるので、皮ごと食べるのも◎。表面のうぶ毛が気になる場合は、薄い布で表面をやさしくこすりながら洗うと、簡単にとることができます。

 桃はデザートだけでなくおかずにもなります。鉄分豊富なブロッコリーやベビーリーフを組み合わせ、オリーブオイルと塩コショウで食べると、桃に含まれるビタミンCで鉄分の吸収が良くなり、ビタミンEもオリーブオイルと一緒に取ることで吸収率が上がるのでおすすめです。

 桃に含まれる食物繊維は、ヨーグルトに含まれる乳酸菌を増やす働きがあるので、サンドイッチにしてもよいでしょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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