ムール貝の旬は採れる場所にもよって違いますが、7~10月ごろ。スペインのパエリアやイタリアのペスカトーレなど地中海地方をはじめとするヨーロッパでよく食べられる貝類で、軟らかい身とクリーミーなうま味が特徴。収穫場所はフランスが本場です。
日本で古くから食用とされてきたのはイガイと呼ばれる貝ですが、1920年ごろ、地中海原産とされるチレニアイガイが貨物船内の水に紛れて日本国内に流入。一気に繁殖してムラサキイガイという日本名が付けられました。
現在、市場に最も多く流通しているのはこのムラサキイガイで、イガイはあまり見かけません。もともとムール貝という名称はフランスにおけるイガイ類の総称的な呼び名で、イガイやムラサキイガイはムール貝として流通していることがほとんどです。
日本ではイガイの栄養価しか表示されていません。海外のデータも含めて栄養価を調べると、可食する量から考えてどの貝もほとんど栄養価は変わりませんでしたが、栄養素が非常に豊富!
まずはタンパク質のもとであるアミノ酸です。体内では合成できないロイシン、イソロイシン、リジンなどの必須アミノ酸、免疫をサポートする働きのあるアルギニン、うま味のもとであるグルタミン酸などをはじめとするアミノ酸が含まれます。
タンパク質とご飯やパン、麺などの主食の組み合わせは朝活動する際、体内時計をリセットしやすくしてくれますので、ムール貝のパスタなどは朝食向き。
また、アサリと同程度の鉄とビタミンB12は共に貧血予防に関わります。特にビタミンB12はDNAの合成や調整にも深く関わっており、正常な細胞の増殖を助ける働きがあるとされています。
ビタミンB12は加熱することで壊れて損失するのですが、加熱する温度帯が高く、長時間であればあるほど、損失が大きいことがわかっています。
一般的に電子レンジ加熱は栄養素の損失が少ないといわれていますので、酒蒸しなどの場合には電子レンジを使ってみるのもよいでしょう。
時間栄養学と旬の食材