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葉や皮に含まれるフロレチンに注目 リンゴでがんを撃退?

リンゴに含まれるフロレチンにがん細胞抑制効果が
リンゴに含まれるフロレチンにがん細胞抑制効果が(C)日刊ゲンダイ

 野菜や果物を多く取ることは、がん予防に有効であると考えられています。

 野菜や果物にはポリフェノールという生理活性物質が含まれています。そのひとつであるフラボノイドは植物が環境から身を守るために産生している色素で、抗酸化作用や抗炎症作用など人間の体に良い働きを多く持っているのです。

 有名なカテキンやアントシアニンはその代表です。これが野菜や果物が、がん予防に有効である主な理由と考えられています。

 リンゴにも多くのポリフェノールが含まれていますが、その中で最近注目されているのがフロレチンです。

 フロレチンは主にリンゴの葉や皮に多く含まれているポリフェノールで、最近の研究により、がん細胞の増殖や転移を抑制するような働きがあることが報告されています。

 体のエネルギー源となるブドウ糖を細胞の中に運ぶグルコーストランスポーターというタンパク質があるのですが、そのひとつをフロレチンは強く抑える性質を持っています。この働きが、がん細胞に入るエネルギーを遮断して、がんを兵糧攻めにするような効果が期待されているのです。

 これはまだ実験レベルの話ですが、リンゴには糖尿病や心臓病の予防など他にも多くの健康効果があり、それは、1日にリンゴ半分くらいの摂取でも見られるとされていますから、リンゴを食べるという習慣は、健康な食生活の決め手のひとつと考えて大きな間違いはないようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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