時間栄養学と旬の食材

ゴボウは腸内環境を整える理想的な食材 朝食べると効果的

ごぼうのきんぴら
ごぼうのきんぴら

 私たちがゴボウと呼んでいる長いゴボウは江戸野菜の滝野川ゴボウから品種改良されたもので、11月ごろから旬を迎えます。

 ゴボウにはさまざまな栄養成分が含まれていますが、最近話題なのは水溶性食物繊維である「イヌリン」や、不溶性食物繊維である「リグニン」です。イヌリンを摂取することで中性脂肪をつけにくくしたり、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。リグニンは腸内で便量を増やし、蠕動(ぜんどう)運動を促す働きがあるので、便秘解消に役立つとされています。これらの効果をより感じるには夕食前に食べると血糖値の上昇が抑えられることがわかっています。

 また、イヌリンは腸内細菌叢(そう)を整える働きをもつプレバイオティクスとしての働きもあります。イヌリンを、絶食時間が長い朝食に摂取すると、腸内細菌叢に大きく影響を与え、腸内環境を改善することが報告されています。ゴボウでも同様の検証を行い、成果を出しています。

 腸内環境を整える際、水溶性食物繊維だけを摂取するのではなく、不溶性食物繊維も併せてとることで効果が大きくなることもわかっているので、食物繊維が100グラムあたり、水溶性食物繊維が2~3グラム、不溶性食物繊維が3.4グラムとバランス良く含まれているゴボウはまさに腸内環境を整えるのに理想的な食材と言えます。

 水溶性食物繊維はその名の通り、水溶性なので水分中に流れ出てしまいます。煮物や汁物にした場合、水分中には食物繊維が残っているので、汁も一緒に食べるとよいでしょう。

 ゴボウのアクの成分は主にポリフェノールです。代表的なポリフェノールである「クロロゲン酸類」は抗酸化力が強いので疲れた体の回復が期待できます。「アルクチイン」は肝臓がんの進行を抑制すると報告されています。ポリフェノールが一番含まれるのが皮なので、なるべく皮をむかずに調理して、アク抜きするときも、水の中に長時間放置せず3分くらいで取り出すのがよいでしょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

関連記事