科学が証明!ストレス解消法

眠気&やる気対策に階段の昇降運動 その効果はコーヒー以上

身近な場所で10分間階段の昇降運動を
身近な場所で10分間階段の昇降運動を

 新型コロナウイルスの猛威が止まりません。都市部では、再び感染防止のため酒類を提供する飲食店やカラオケ店などへの時短営業を要請。さらには不要不急の外出自粛を呼び掛けるなど、同じことを定期的に繰り返す出口の見えない状況に、ストレスがたまる方も多いのではないでしょうか。

 外出を自粛するとなると、職場や自宅にいる時間も増えます。ただでさえストレスが募る状況下ですから、できれば職場や自宅では気持ちを上げていきたいもの。屋内にいながらにして、簡単にストレス解消&モチベーションを向上させることができたら……。そんな相談に応える科学的エビデンスに基づく解消法をご紹介しましょう。

 アメリカのジョージア大学のランドルフとオコナーの研究によると、コーヒーを飲むよりも、「身近な場所で10分間、階段の昇降運動をしたほうが眠気覚ましに効果があり、モチベーションが上がる」ことが明らかになっています。

 被験者は、カフェインを普段から摂取する傾向があり、毎晩の平均睡眠時間が6・5時間程度という女子大生18人。一般的なオフィスでの勤務を想定し、立ち上がって運動をする頻度がほとんどないデスク作業という環境下で実験は行われました。

 一日中パソコンの前に長時間座ってもらい、言語能力や認知能力を必要とする作業をしてもらう中で、日の間隔を空けて被験者に次の3パターンの行動をしてもらいました。

【パターン1】カフェインを摂取する

【パターン2】プラセボ(偽薬)を摂取する

【パターン3】階段の昇降運動をする(30階分を10分かけて上り下りする)

 その後、作業記憶やモチベーション、集中力などを調べたところ、階段の上り下りをした【パターン3】は、「モチベーションが上がり、元気になった」と感じることが分かったというのです。

 一方、カフェインやプラセボを飲んだ【パターン1】と【パターン2】のケースは、モチベーションに大きな変化は認められなかったといいます。コーヒー1杯にはおおよそ50ミリグラムのカフェインが含まれますが、そのカフェインの効果よりも運動のほうが効果的で、コーヒーによるカフェイン摂取の効果は、なんとプラセボを摂取した場合と大差がないということも分かったそうです。

 作業記憶や集中力に関しては3パターンともに差はなく、モチベーションの点にのみ差異があったというのが注目すべきポイントでしょう。何げない階段を上り下りするような簡単な運動でも、モチベーションを向上させることができるというのは灯台下暗し。しかも、運動不足の解消にもつながりますから一石二鳥ですね。もちろん、階段を延々と上らずとも、踏み台昇降のように上り下りを繰り返す運動でも効果はありますから、自宅やオフィスでも簡単に行えるモチベーション向上術といえるでしょう。やる気が起きないときや気分が沈んでいるときは、あえて階段を利用することをお忘れなく!


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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