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正しい耳あか掃除の方法 自分ではやらない方がいいのか?

及川貴生 たま耳鼻咽喉科院長
及川貴生 たま耳鼻咽喉科院長(提供写真)

 患者さんと耳あかの掃除話をすると、面白いくらい週1回以上こまめにやるタイプと、数年間は放置する無頓着なタイプに分かれます。

 結論からいうと、耳あかの掃除は自分ではやらない方がいい。耳を傷つける原因になりますし、掃除をしなくても自然に排出されますから問題ありません。

 耳あかがたまって気になってきたら、耳鼻科で掃除をしてもらいましょう。大人で半年に1回、耳の穴が小さい子供は3カ月に1回のペースで十分です。

 毎日のように自分で掃除する人はクセになっているからです。綿棒で耳を引っかくことで、かゆみの原因物質である「ヒスタミン」を発生させます。だから、掃除をすればするほどかゆくなり、やめられないんですね。外耳道湿疹を引き起こし、しまいには感染を起こして急性外耳炎の原因になります。

 ただ、まったく耳掃除をしない場合、長年の耳あかが固まり、耳の穴が塞がってしまうこともあります。「耳垢栓塞」といって、耳が詰まる、聞こえにくいといった症状が表れます。自浄作用が衰えた高齢者で数年単位で耳あかの掃除をしていない方に多い。耳鼻科で耳掃除をしたところ、補聴器がなくても「聞こえるようになった」というケースもあります。

 耳鼻科で耳掃除をしても、耳閉感があったり、音がこもって聞こえるなら、突発性難聴などの神経性の難聴の可能性があります。異変を感じてから2~3週間以内でなければ適切な治療ができないため、早期発見が大事。3日間、音がこもったり、すっきりしない状態が続けば診察してもらってください。

 どうしても自分で掃除したいなら、奥までやらないこと。綿棒を入れるのは耳の穴の入り口からせいぜい5ミリ~1センチまで。それより奥は自浄作用に任せておけば、トラブルは起きません。また一般論ですが、耳あかがやわらかいタイプなら綿棒、カサカサのタイプなら竹製の耳かきを使うと取りやすいです。

▽及川貴生(おいかわ・たかお) 聖マリアンナ医科大学卒業、同大学耳鼻咽喉科学教室に入局。水戸済生会総合病院耳鼻咽喉科、聖マリアンナ医科大学医長を経験後、たま耳鼻咽喉科を開院し、院長に就任。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」(QRコード)でも解説します。

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