医者も知らない医学の新常識

ビタミンDが腸内細菌のバランスを改善する 学術雑誌で報告

魚や卵に多く含まれるビタミンD
魚や卵に多く含まれるビタミンD

 ビタミンDというのは、魚介や卵、キノコ類などに多く含まれるステロイドの仲間のビタミンで、カルシウムの吸収を増加させるなど、健康な骨の維持には不可欠な成分です。このビタミンDは人間の体に入ると、腎臓で活性化を受け、活性型ビタミンDに変化します。腎臓が悪くなると骨がもろくなるのはそのためなのです。

 さて、ビタミンDは骨ばかりでなく、体のバランスの調節に広く働いていることが、最近明らかになってきています。ウイルス感染などから身を守る免疫の働きも、動脈硬化の進行を予防するような働きも、ともにビタミンDが欠乏するとうまく機能しないことが分かっています。さらに昨年、「ネイチャー・コミュニケーションズ」という一流の科学誌に、ビタミンDと腸内細菌についての興味深い研究結果が発表されました。それによると、高齢男性の腸内細菌の多様性と血液の活性型ビタミンDの濃度との間に、有意な関係が認められたのです。

 腸内細菌はビフィズス菌や大腸菌が有名ですが、より多くの細菌がバランス良く成育している状態が、健康長寿のためには重要であると考えられています。活性型ビタミンDが多くあることが、腸の健康のためにも重要であるようなのです。ビタミンDは健康の重要なパートナーであることは間違いがなさそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

関連記事