時間栄養学と旬の食材

冬瓜は9割が水分で熱中症予防に最適 抗酸化作用もあり

ビタミンCが豊富
ビタミンCが豊富

 冬瓜(とうがん)は漢字からは想像しづらいですが、夏野菜です。保存能力がとても高い野菜で、冬まで長持ちして食べられることからその名が付いたといわれています。丸のまま温度13~15度、湿度70~75%くらいに保てる冷暗所であれば6カ月以上、冷蔵庫の場合はキッチンペーパーとラップで包んで野菜室で約1~3カ月保存することができます。

 スーパーなどでカットして販売される冬瓜や、余った冬瓜を保存する際は、空気に触れると腐敗しやすいワタを取って冷蔵庫で保存すれば5日程度持ちます。クセもなく、どんな料理にも合わせやすい食材です。

 そんな冬瓜に含まれる成分の9割は水分です。暑い時季に体を冷やす効果もあるので、熱中症予防や暑い夏を乗り切るために積極的に取り入れたい野菜のひとつです。

 また、残りの1割にも大切な栄養素が含まれています。まず、塩分を体外に排出してくれる働きがあるカリウム。冬瓜は100グラム中に200ミリグラムのカリウムが含まれており、成人女性の1日に必要なカリウムの目安量(2000ミリグラム)の約1割となります。

 夜は塩分を排泄(はいせつ)するホルモンの働きが高まることも分かっていますので、日頃から高血圧などの理由で薄味でガマンされている方も夕食で減塩を少し緩めることができます。その際、一緒にカリウムを取ることでダブルの高血圧対策ができそうです。

 次に、強い抗酸化作用を持ち、活性酸素から体を守ってくれるビタミンCです。冬瓜100グラムには1日に推奨されるビタミンC量(100ミリグラム)の約4割(39ミリグラム)が含まれています。ビタミンC欠乏症で知られる壊血病は、コラーゲンがつくれないために細胞の間の結合が緩むことで起こります。

 つまり、ビタミンCが不足してしまうと健康な細胞をつくりづらくなってしまうのです。私たちの体はすべて細胞でできていますので、体全体をつくり上げるためにも、ビタミンCはぜひ取っていただきたい栄養素のひとつといえます。

 カリウムやビタミンCは水に溶けやすい栄養素。より効果的に摂取するのであれば長時間の煮込みよりも、サッと火が通る程度にするのがおすすめです。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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