時間栄養学と旬の食材

生姜は寝る前に食べたい 含有3成分の働きと望ましい食べ方

生姜
生姜(C)日刊ゲンダイ

 生姜の旬は初夏から晩秋にかけてで、その時期に採れたものを「新生姜」、新生姜を早採りして葉がついたままのものを「葉生姜」と呼びます。私たちが一年中目にするものは新生姜を貯蔵したもので、「古生姜」や「根生姜」と呼ばれています。

 そんな生姜の成分のうち、最近話題になっているのが独特の辛味のもととなる「ジンゲロール」「ジンゲロン」「ショウガオール」です。

 ジンゲロールは、血管を拡張させる働きがあり、冷えの改善などに役立つほか、殺菌作用や免疫機能の維持、胃腸の働きを整える働きもある成分です。そして、加熱や乾燥によってジンゲロールが変化して出来るジンゲロンは、強い発汗作用や脂肪分解作用が報告されています。生姜独特の香りもこのジンゲロンが由来で、ジンジャーエールなどの香料にも使われています。

 ショウガオールもまた、加熱や乾燥によってジンゲロールが一部変化して出来る成分です。血の巡りをよくしたり、痛みの原因となるプロスタグランジンの生成を抑えたり、脂肪を消費しやすい状態にする働きがあるので、冷えや痛みの改善、ダイエットにも効果的。

 そして、なんとショウガオールは増やすことができ、その最適な条件が80度で3時間の加熱と報告されています。保温ポットに生姜を入れて置いておくのが一番手軽な作り方。さらに効果を高めたい方は、加熱した生姜を乾燥させるとよいそうです。

 また、ジンゲロンとジンゲロールの同時投与により、脂肪のエネルギー消費がアップすることも報告されていますので、これらの成分を一度に取るために生姜を食べることはまさに理想的な食べ方ですね。

 時間栄養学の視点から考えると、これら生姜に含まれる3つの成分は夜、特に寝る前に取るとよいでしょう。血の巡りをよくし、体を温めることは夜ぐっすりと眠ることになり、このような質のよい睡眠は、結果として朝すっきりと目覚めることにつながるので体内時計が整いやすくなります。

 脂肪の多い食事を好んで食べる方や寝つきの悪い方、メタボリックシンドロームや生活習慣病を予防したい方は、ぜひ召し上がってみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

関連記事