時間栄養学と旬の食材

梨は夜に食べたい 血糖値への影響が少なく疲労回復効果あり

梨

 秋の味覚の代表である梨は、弥生時代ごろには食べられていたといわれています。一般的にイメージされる梨は日本国内品種の「和梨」を指しますが、西洋品種の「洋梨」もあります。ラ・フランスなどが有名でしょうか。味や食感に差があるので栄養価も違いそうですが、水分量は和梨のほうが多く(和梨88%、洋梨84%)、食物繊維は洋梨が倍くらい多い(和梨0.9グラム、洋梨1.9グラム/100グラム当たり)以外はほとんど栄養価が変わりません。

 今回はより一般的な和梨に着目していきたいと思います。まずはソルビトールという糖アルコールです。梨は果物の中でもソルビトールを多く含みます。

 ソルビトールは通常の糖類と比較して、虫歯になりにくいといった特徴からガムなどの甘味料に使われています。血糖値への影響が少なく低エネルギーの糖とされているので、糖尿病の方が食べても問題が少ないともいわれています。ただし、整腸作用もあるので、過度に取るとお腹を下してしまうことがあります。食べ過ぎには注意しましょう。

 アミノ酸の一種であるアスパラギン酸も、梨に含まれる栄養素のひとつです。筋肉や体全体をつくるために必要です。糖質を有効活用してくれるので、エネルギーを生みやすく疲労回復に役立ちます。

 血糖値を上げにくく、疲労回復してくれるのであれば、夜に食べたい食材といえるでしょう。ただし、梨はその水分の多さから体を冷やす食材とされ、夏バテ予防にも使われます。夜食べる際は、一緒に温かいお茶などと取ったり、フライパンで軽くソテーして食べるとよいでしょう。

 また、タンパク質を分解してくれる酵素であるプロテアーゼも含まれているので、肉などの調理に最適。硬いお肉もジューシーに軟らかくしてくれます。夜に食べる際、そのまま食べるのもよいですが、すりおろして焼く前のお肉につける方法もあるので、ぜひ試してみてください。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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