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腕にしこりができた…「悪性」「良性」の見分け方はある?

総合内科専門医の塚本浩氏
総合内科専門医の塚本浩氏(提供写真)

 腕や足をはじめ、皮膚を通して触ることができるしこりの大半は「良性」のものです。「悪性」の場合、どこにできるかが問題で、分かりやすい例でいえば、乳房の乳がん、喉仏の下の甲状腺がんです。

 首やわきの下、足の付け根といったリンパ節にできる「悪性リンパ腫」や、手足の筋肉や骨にできる「骨肉腫」「脂肪肉腫」も、しこりから判明することがあります。特徴は、「乳がん」のしこりは、不整形でいびつ。触っても境目がわかりにくく、石のように硬い。「甲状腺がん」のしこりも、同じく不整形で硬く、押すと痛みを感じる場合もあります。

「悪性リンパ腫」は硬さがゴムに類似しています。

 風邪をひいたときにリンパ節が腫れる方がいますが、それよりも硬く、1個ではなくボコボコできます。クリッとした触り心地です。

「骨肉腫」は10代の男性、「脂肪肉腫」は中高年に発症することが多く、手足の骨の一部が腫れてきたり、筋肉や脂肪を掴んだときに比較的急速に大きくなる硬いものがあれば疑います。いずれの場合もしこり自体に色は付きませんが、月単位の速さで大きくなり、痛みは伴わないことが多いです。

 一方、「良性」のしこりの原因はほとんどが「脂肪腫」です。脂肪の塊で、ぽつんと1個できる。大きさもほぼ変わりません。ほかに、中にゼリー状の物質が詰まった腫瘤「ガングリオン」や、皮膚の下に毛穴の袋ができて、角質(垢)がたまることでできる「粉瘤」があります。次回は良性のしこりに対する処置についてお話しします。

▽塚本浩(つかもと・ひろし) けんせいクリニック院長。帝京大学医学部神経内科助教、同医療技術学部臨床検査学科准教授、東京医科大学茨城医療センター脳神経内科臨床准教授を務める。日本神経学会専門医、日本内科学会認定医、臨床研修指導医。

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