コロナ禍でも注目 最新医療テクノロジー

スマートウエアを用いた「hamon」でストレスや疲労度を計測

hamonのスマートウエア
hamonのスマートウエア(ミツフジ提供)

 体に身に着けて使用できるタイプの端末のことを「ウエアラブル端末(デバイス)」という。そして、シャツのような「着るウエアラブル端末」を「スマートウエア」と呼ぶ。

 そのスマートウエアを用いて生体情報を取得し、企業の従業員らの体調管理に役立てることができるのが「hamon(ハモン)」だ。開発したのは繊維・ウエアラブルIoT企業「ミツフジ」(本社・京都府)。どんなヘルスケア・システムなのか。同社・プロダクト部の松本健志主任が言う。

「hamonのスマートウエアには、胸の部分に『銀メッキ導電性繊維』が編み込んであります。そこが電極となり、ウエアに装着した小型トランスミッターから心拍の波形データが、ブルートゥースでスマホアプリに送信されます。そして、アプリ内のアルゴリズムで解析された4項目の体調に関するリスクがスマホ画面に表示されます。これらの解析結果は、すべてクラウドにより管理者画面で遠隔モニタリングができます」

 解析で利用しているアルゴリズムは、産業医科大学などと共同開発したもの。4項目のリスクとは、「ストレス度」(100段階)、「眠気」の有無、「体調(疲労度など)」と「暑熱(熱中症)」のリスクが3段階で表示される。また、トランスミッターに内蔵された加速度センサーによって、「転倒」の検知もできるという。

 hamonの導入事例として、中学校や建設会社の熱中症対策、航空会社の客室乗務員のストレス対策、菓子製造工場でのストレスマネジメントなどに活用されている。

アプリ画面
アプリ画面(ミツフジ提供)

 そして今年5月、hamonの技術を応用した「hamon band(ハモンバンド)」が発売された。これは手首に装着するリストバンド型デバイス。本体に5つのLED電球が配置されており、「緑(測定中)」「黄(注意)」「赤(警告)」の3色の点灯で熱中症のリスクを通知してくれる製品だ。

「暑熱リスクを知るひとつの指標として、深部体温の上昇があります。hamonのスマートウエアでは、心拍データを基に深部体温上昇の変化を推定するアルゴリズムを利用しています。このアルゴリズムを心拍データでなく、脈波データに置き換えたのです」

 脈波は、手首に接している部分から光学センサーによって測定しているという。また、リスク通知はLED点灯だけでなく、「黄」と「赤」になると同時にバイブレーション通知もある。hamon bandは個人の購入も可能で、価格は9900円(税込み)だ。

関連記事