タバタトレーニング コロナ禍の活動量低下にわずか「4分間」で効果あり

20秒全力で動いて10秒休む
20秒全力で動いて10秒休む(C)日刊ゲンダイ

 10年以上前から欧米で人気を博し、最近はコロナ禍の活動量減少を解消する方法として多数の論文が発表されているのが「タバタトレーニング」だ。「タバタ」とは、立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授のこと。4分間で効果を得られる効率的なトレーニング法だ。田畑教授に話を聞いた。

 タバタトレーニングは、20秒間の運動と10秒間の休息を1セットとし、6~8セットで疲労困憊に至る間欠運動。

「簡単に言えば、究極の有酸素性トレーニングであり、同時に究極の無酸素性トレーニングです」

 私たちが運動を行うときのエネルギー供給は、2つある。

 酸素を使わずにエネルギーを供給する「無酸素性エネルギー」と、酸素を使ってエネルギーを供給する「有酸素性エネルギー」だ。

 中距離走のような強度の高い運動では無酸素性エネルギーが鍛えられ、ジョギングやエアロビクスのような比較的強度の低い運動では有酸素性エネルギーが鍛えられる。

「タバタトレーニングは、4分間という短時間で両方を鍛えられる。これは、研究ではっきりと証明されています。それにより酸素摂取量が増え持久力が高まります」

 20秒間の運動は、フィットネスジム器具を使ってもいいし、スクワットやもも上げ、ジャンプなど自宅でもできる自体重の運動でもいい。

「ただし下半身に筋肉が集まっているので、下半身を使う運動、ダイナミックに体全体を動かす運動の方がお勧めです」

 スクワットが余裕なら、スクワットとジャンプを組み合わせたスクワットジャンプなどに変える。8セットをすべて同じ運動で行ってもいいし、数種類の運動を組み合わせてもいい。

■20秒全力で動いて10秒休む

 タバタトレーニングの最大のポイントは、「20秒間の運動を全力で行う」ということ。本来は、最大酸素摂取量170%の強度の運動を行う。

 一般的に、運動中に「楽である」から「きつい」と感じるのは最大酸素摂取量50~70%。170%が、いかに強度が高いか分かるだろう。

「この強度だからこそ、4分間でも効果が出るのです。最大酸素摂取量170%の運動は、休息なしでは50秒程度しか続けられません。タバタトレーニングでは10秒の休息を挟むので、8セットでは160秒間行え、心臓や筋肉に多くの刺激を与えられます」

 最大酸素摂取量170%という強度の運動を、スポーツ選手でない人間がこなすのは難しい。ましてや、運動経験が乏しい人ならなおさらだ。心掛けたいのは、「全力で」という点。4分間終わった後に「まだできそう」と感じるなら、それは強度が低い。

「運動後のきつさを『楽である』『ややきつい』『きつい』『かなりきつい』の4段階に分けた場合、『ややきつい』から『かなりきつい』くらいまでの間になっていれば、効果があります」

 最近の研究では、50代の運動経験がない男性がバーピージャンプという運動を20秒間に5回行う程度の強度でも、6週間後、持久力が向上したとの結果が出ている。

 タバタトレーニングでエビデンスがあるのは、あくまでも「持久力が上がる」という点だ。「痩せた」という声もネットに上がっているが、そのエビデンスはない。

「痩せたとするなら、持久力が上がり、活動量が増え、運動を長時間続けられるようになったからでしょう。ダイエット目的なら、ほかの運動を組み合わせてください」

 故障しないよう、ウオーミングアップとクールダウンも念入りに行いたい。タバタトレーニングの目安は週2~3回だ。

 田畑教授の研究では、タバタトレーニングで大腸がんの前がん細胞が減ったという動物実験の結果も出ている。1日24時間のうちのたった4分間、タバタトレーニングに使ってはどうだろう。

関連記事