時間栄養学と旬の食材

「蓼」には食欲促進効果あり 朝に魚のツマとして一緒に取る

蓼の新芽
蓼の新芽(C)PIXTA

「蓼(たで)食う虫も好き好き」ということわざがありますが、蓼、と言われてピンとくる方は多くないかもしれません。

 蓼は、タデ科タデ属の植物を総称して呼んでいるもので、新芽はその辛味が生臭さを和らげるとして、刺し身のつまや薬味などに使われる紫色の芽です。また、葉や茎は殺菌・抗菌といった作用があり、漢方や民間薬として虫さされや利尿剤にも使われていたとも。そんな蓼ですが、栄養価はどの程度なのでしょうか? まずは体内でビタミンAに変わることができるβカロテン。活性酸素の働きを抑えたり、活性酸素そのものを取り除いたりしてくれるので、アンチエイジング効果が期待できるほか、生活習慣病の予防にも役立つなどという報告もあります。

 また、貧血や食欲不振に関わる鉄や、細菌やウイルスから身を守り、味覚障害を予防してくれる亜鉛も含まれます。同じ重量のホウレンソウと比べて両方とも多いのですが、蓼を一度に食べる量からすれば摂取量は少ないのは否めません。

 ただ、栄養価がゼロなわけではなさそうなので、摂取して悪くはありません。実際に料理に使うのはごく少量であることからも、糖質量やエネルギーはかなり低いと考えてよいでしょう。

刺身のツマとしておなじみ
刺身のツマとしておなじみ(C)PIXTA

 また、近年スプラウト(芽物野菜)がブームになっていて、その機能性が研究され、市場に出回っています。蓼もまさにそのひとつ。たとえば、蓼の中でもベニタデの辛味の成分はタデオナールといわれているもので、食欲促進作用があることが分かっていたり、タデオナールによる抗菌作用も報告されています。時間栄養学として効果があるほどの量はおそらく一回の食事では摂取できないでしょう。

 しかし、食欲を促すという意味では、朝、どうしても食欲がないときに魚のつまとして一緒に取ることは非常にお勧めです。朝の魚も体内時計をリセットするために有効なDHA、EPAが豊富に含まれていますので、一緒に食べてみてはいかがでしょうか?

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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