新型コロナ第6波をどう過ごすか

症状があったらすぐ受診…は「ゼロコロナ」の発想といえる

「オミクロン株」の市中感染事例を受け、PCR検査などを呼び掛ける小池百合子知事
「オミクロン株」の市中感染事例を受け、PCR検査などを呼び掛ける小池百合子知事(C)共同通信社

 新型コロナ第6波の襲来で大騒ぎだ。東京都の13日発表の新たな新型コロナ感染者数は「10歳未満」から「100歳以上」までの男女3124人。2日連続で前日比1000人前後の増加となった。これは1週間前の5倍近い数字で、1日の感染者数が3000人を超えるのは昨年の9月2日以来だという。

 こう聞くと「大変なことになった」と狼狽してしまいがちだが、ここは冷静になるべきではないのか。公衆衛生の専門家である、岩室紳也医師に聞いた。

「現在、急増している新型コロナの多くはオミクロン株と呼ばれる変異種で気管支で爆発的に感染拡大しますが、肺の奥まで感染が広がることは少ないことが世界中で報告されています。つまり、オミクロン株は感染しても発熱や鼻水、のどの痛みといった風邪症状が出るものの、肺炎になるなど重症化に至る可能性が低く、まして死亡するリスクはさらに低い可能性が強いのです」

 新型コロナの感染拡大が始まった2019年の末では新型コロナの正体がわからず、世界全体が「ゼロコロナ」を目指し対策を取った。それが症状があれば即検査・即受診・即隔離の体制だった。

 しかし、新型コロナの正体が徐々に明らかになり、ワクチンや治療薬が登場し、重症化しにくいオミクロン株に変わりつつあるいまは、私たちもゼロコロナからウィズコロナに心持ちや行動を変えるべきではないか?

 それは新型コロナ前の病気の接し方でいいのではないか。若くて基礎疾患なしの人は発熱があれば即受診、即検査ではなく、発熱に加え肺炎を疑わせる咳など複数の症状があってその症状がひどいときにこそ病院に向かうことではないか。

「その通りです。基礎疾患がある高齢者はゼロコロナで臨む必要がありますが、それ以外の健康な若い人だけではなく、一般の人もウィズコロナでの生活方法を学ぶべきです。ただし、いまはデルタ株も一定数いて、こちらはある程度の重症化リスクがある。そのため新型コロナすべてをオミクロン株と考えて甘くみてはいけません。ですから、若く健常な人でも発熱に加え咳などの症状が急激に悪化するようであれば即検査・即受診すべきです」

 もうひとつ大切なことは「感染力が強い」の意味をいま一度見直すことだ。いままでのいいかげんな3密回避、ソーシャルディスタンス、マスクでも身を守れてきたが、感染力の強いオミクロン株からは守れないということだ。

「無症状の人でも感染していて他の人にうつす可能性があるので、部屋にいるときには対角線上の窓を開けて空気の流れをつくってウイルスを拡散するとか、マスクは不織布にするとか、これまで以上に丁寧に行うことが大切です」

 あのビル・ゲイツは自身のツイッターで、オミクロン株の流行が収まった後に新型コロナウイルスの勢いは衰え、最終的には季節性のインフルエンザと同様に扱うことができるようになると予測したという。

 同様の推測を述べる科学者も少なくない。いまは心と行動を少し変えながら、しばらく丁寧な防疫生活を続けることだ。春はもうすぐやってくる。

関連記事