血液型がA型の人は新型コロナウイルスの重症化リスクが高く、O型の人はリスクが低い--。そんな研究論文が2020年10月、世界で最も権威ある医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」に掲載され、世界中で大きな話題になりました。日本でもマスコミに広く取り上げられたので、覚えている人も多いと思います。イタリアとスペインの7病院の重症患者1610人と、健康者2205人のゲノムを調べたところ、重症化に関係する遺伝子が2つ見つかったというのです。
ここ数年、ゲノム解析が高精度に、しかも安価にできるようになってきたため、病気に関連する遺伝子の探索に多用されるようになってきました。ちなみにゲノムとは、人のDNAに書き込まれているすべての遺伝情報のことです。重症患者と健康者の合わせて3815人のゲノムを調べてみたら、2種類の遺伝子が重症化と関係していることが分かったというわけです。
血液型とコロナ重症化の関係 「SARS」「MERSで」ではどうだったのか
- 2022年01月13日
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。