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3回目接種「あり」の症状が出る確率は「なし」より66%低くなる 米で論文が

ブースター接種を受けるバイデン大統領
ブースター接種を受けるバイデン大統領(C)ロイター

 オミクロン株によるアメリカのコロナ感染はピークを越えましたが、先週の時点で1日の死者が2400人と、昨年のデルタ株の記録を更新。まだまだ予断は許しません。そんな中「ブースターショットがオミクロン株に効果あり」というアメリカ人の実感が数字で証明されました。

 アメリカのコロナの99%はオミクロン株に置き換わり、ワクチンを打っていても感染するブレークスルー感染が当たり前になっていますが、CDC(米疾病対策センター)がその状況下で数百万人のデータを分析しました。それによるとブースターが入院を防ぐ確率は90%、それに比べ、ブースターなしで2回目から半年経っていた場合は57%。また、ブースターありだと医者にかからずにすむ確率は82%、なしだと38%。さらに10万人当たりの感染は、ブースターありだと149人、なしだと255人という結果でした。

 さらにJAMA(米国医学会雑誌)に発表された別の論文では、ブースターショットを打っていた場合に症状が出る確率を1万3000人を対象に調査した結果、症状が出る確率はブースター「あり」は、「なし」に比べ66%低いことがわかりました。

 アメリカでは12歳以上ならブースターを打つことができますが、実際に打ったのはその5割にとどまっています。でもこの数字を見る限り多くの人は今回ブースターに救われたと言えそうです。

 一方で、2回のワクチンを完了していない人も人口の4割近くいて、それが死者や重症者の数につながっています。

 ただ、気になるのはニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された記事で、オミクロン株に対しては今のブースターショットの効力も半年後には落ちてくるとのことで、4回目の接種が現実味を帯びてきました。

 一方、モデルナとファイザーがオミクロンに特化したワクチンを開発中で、すでに臨床実験の段階と報告されています。またあらゆる変異種に効果がある万能ワクチンも開発されていますが、こちらはまだまだずっと先になりそう。いずれにせよ今後かなり長い間コロナとワクチンとの共生が続くのは間違いなさそうです。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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