花粉症対策 副作用が少なく症状をしっかり抑える薬の選び方

厄介な季節がやってくる
厄介な季節がやってくる

 花粉症の治療は薬が中心。NPO「花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会」理事長として「コロナ時代の花粉症対策『花粉症デジタルガイド 2022年版』」を同ホームページで公開している日本医大・大久保公裕教授によれば、今は花粉症治療薬の選択肢が広がり、自分に合った薬を飲めば、一部の重症患者を除き、花粉症の症状を日常生活に支障がないレベルまで抑えられる。しかし実際は、そこまで徹底した花粉症対策をしている人は多くない。

 花粉症対策は、コロナ対策につながる。

「花粉症の症状が抑えられていないと目や鼻を触りがちになり、コロナに感染しやすくなる。さらにくしゃみは咳よりもはるかに飛沫を拡散しやすく、コロナに感染している場合、周囲にウイルスをまき散らすことになってしまう」(大久保教授=以下同)

 オミクロン株は肺炎を発病しても軽症といわれてきたが、高齢者ではそうではないケースが報告されている。感染する高齢者の増加で、肺炎で重症化する患者が一定数出てきており、病床の逼迫が懸念されている。

 花粉の飛散量のピークが間近に迫る中で、花粉症患者の「コロナに感染する・感染させる」リスクを下げるためにやるべきことは、自分に合った薬選び。大久保医師が次のポイントを挙げる。

■症状のタイプを知る

 自分の花粉症の症状のタイプはどれか? 大きく分けて「くしゃみ・鼻水・目のかゆみがある典型的な花粉症タイプ」「どんな薬を使っても症状が治らない重症タイプ」「鼻詰まりがきつく、頭痛もある副鼻腔炎併発タイプ」がある。

「典型タイプでは、くしゃみや鼻水がひどければ抗ヒスタミン薬などの飲み薬。鼻詰まりがつらいなら抗ロイコトリエンのほか、抗ヒスタミン薬にも鼻詰まりに効果がある種類が出ています。飲み薬でも治らない鼻の症状があれば鼻噴霧用ステロイド。目の症状が強ければ点眼薬も必要です」

 重症タイプでは、2020年に重症患者に処方された皮下注射の抗体治療薬「ゾレア」がある。花粉症が起こるのはIgE抗体がマスト細胞に結合するからだが、このIgE抗体をブロックするのが抗体治療法だ。

「副鼻腔炎併発タイプは、花粉症の治療だけでは治りません。鼻の穴を左右に隔てる鼻中隔が湾曲していれば手術が必要ですし、20年には、治りにくい副鼻腔炎に抗体治療薬『デュピクセント』を使用する治療法も始まっています」

症状のタイプを知る
症状のタイプを知る
1日1回でOKの貼り薬

■眠くなりにくい薬がある

 花粉症の抗ヒスタミン薬は眠くなる。こう思っている人はいまだに多いのではないか? しかし大久保医師によれば、処方薬は今、眠気が少ないタイプが主流。

「効果も高い。現時点で眠気が最も少ないのはビラノア、ルパフィンは鼻詰まりや皮膚のかゆみにも効果があり、デザレックスは眠気が少ない上に長時間効果が持続する。眠気があるようなら、別の薬への変更を医師に相談してみてください」

■症状抑制効果を24時間続かせたい

 24時間効果を一定に保ちたければ、貼り薬という手がある。18年発売の「アレサガテープ」だ。1日のうちいつ貼ってもよく、1回貼れば効果が24時間続く。

「朝症状がつらい人は前日の夜から貼るといい」

■ワクチン接種時も薬の服用OK

 コロナワクチン3回目接種を花粉症シーズンに迎える人もいるだろう。

「花粉症の飲み薬、貼り薬、点鼻薬、点眼薬いずれも、ワクチン接種前日、当日、翌日すべて使用可能です。ただし、ゾレアはワクチン接種当日は使用不可になります」

 なお、前述のように、花粉症の人はコロナに感染しやすく感染させやすいので、3回目ワクチン接種の機会があるなら、なるだけ早く接種すべき。また、今後のウィズコロナを考えると、花粉症の根治を目指せる「舌下免疫療法」を検討するのもいい。

関連記事