新型コロナ第6波をどう過ごすか

コロナ禍で死因はどう変化したのか 最新人口動態統計で比較

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 東京都では新型コロナ禍で4度の緊急事態宣言(①2020年4月7日~5月25日、②21年1月8日~3月21日、③同年4月25日~6月20日、④同年7月12日~9月30日)に加えて、まん延防止等重点措置(同年4月12日~4月24日、同年6月21日~7月11日など)が取られてきた。

 その結果、昨年の緊急事態宣言期間だけでも211日間に及び、多くの人は体を動かさない生活を長期間強いられてきた。

 今年に入っても1月21日から3月21日までの60日間がまん延防止等重点措置期間になっている。

 これほど長期にわたる行動自粛の副作用はないのだろうか? 

 新型コロナによる行動制限で病院に行けなかったり運動ができずに持病が悪化した、人と接することができずにストレスがたまりそれが疾患として表れた、なども考えられるのではないか。

 そこで疾患別死因の変化を調べてみた。

 厚生労働省が公表している最新版の人口動態統計月報(概数)によると、2021年1~10月に亡くなった人の総数は118万2344人で前年同期比で6万1958人多かった。そのうち「悪性腫瘍」で亡くなった人は31万6106人(前年比2534人増)。目立って増えたのは膵がん、気管・肺がん、結腸がん、胆のう・胆道がんだった。

 循環器疾患全体では29万329人(同1万786人増)でとくに「心疾患(高血圧性を除く)」の17万3888人(同8180人増)が目立った。脳梗塞などの脳血管疾患は8万5645人(同1525人増)だった。

「腎不全」の2万3531人(同1566人増)を含めた、「腎尿路生殖器系の疾患」は3万7938人(同3396人増)となった。

「アルツハイマー病」は1万8705人(同1767人増)で、運動不足が大きなリスク要因でもある「糖尿病」は1万1859人(同485人増)。「自殺」は1万7114人(同501人増)となっている。3月は一年間で最も自殺者数が多い月であり、いまは景気の先行きが不安定なだけに心配だ。

 目立つのは「老衰」の12万3426人(同1万6673人増)。厚労省が発行する「死亡診断書記入マニュアル」によると、老衰とは高齢者で、ほかに記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死とある。以前とは異なり医療現場では高齢者は無理して治療せず、自然な死を受け入れるようになったせいとされるが、それだけが原因なのか。

 一方、この間減ったのは「肺炎」の6万373人(同4592人減)、「胃がん」の3万4562人(同449人減)など。ただし、肺炎の中でも「誤嚥性肺炎」は4万687人(同5994人増)と急増している。巣ごもり生活で活動量が減ったことで食事の量や回数が減ったり、人との話をする機会が減ったことが影響したのではないか。

「不慮の溺死・溺水」の5338人(同180人減)、交通事故の2820人(同150人減)も減った。インフルエンザは新型コロナウイルス感染者数の増加と反比例して感染者数は激減したが、それでも16人(同925人減)亡くなっていた。

 長期間の行動制限の副作用は数年経ってから表れるという。一時的な行動制限効果は否定しないが、ウイルスが変化するなか、いつまで長期の行動制限生活を続けるのか。そろそろ議論すべきではないか?

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