時間栄養学と旬の食材

ハスカップは「不老長寿の妙薬」鉄・カルシウム・ビタミンが豊富

ハスカップ
ハスカップ

 北海道の特産品でもあるハスカップは和名で「クロミノウグイスカグラ(黒実鴬神楽)」とも呼ばれます。ブルーベリーのような色(青紫色)に丸みを帯びた円すい形の果実です。

 品種によっては赤色や黄色の実をつけるものもあり、甘酸っぱくも苦味や酸味が入り交じった特徴的な風味が面白く、酸味が強いためジュースやジャムなどに多く利用されています。

 ハスカップという名前は北海道の先住民族アイヌ民族の言葉「ハシカプ(枝の上にたくさんなるもの)」が由来となっているほか、「エノミタンネ(細長い実)」に由来して「ユノミ」という愛称で呼ばれることもあるそうです。

 古くから「不老長寿の妙薬」「幻の実」として、アイヌ民族が冬季の保存食として利用したり、体を軽くし、不老不死に役立つ果実として、特に心臓の弱い人や、貧血、冷え性の人に良いと民間治療にも用いられていたといいます。

 では、いったいどのような栄養素が含まれているのでしょうか。まず、果物の中でもトップクラスの鉄やカルシウムが含まれています。特に鉄は体内に吸収しづらい栄養素なのですが、ハスカップには吸収を助けてくれるビタミンCやクエン酸が一緒に含まれるため、効率的に鉄を吸収することができます。

 そして、美肌や老化防止のための抗酸化作用が大変強いとされるビタミンCやビタミンEも豊富です。ビタミンEの中でもより体内で使われやすいαトコフェロールが多く含まれるので、その効率の良さはピカイチ!

 ヒトの皮膚細胞を用いて、ハスカップ抽出物を投与した実験では、紫外線による皮膚保護作用が報告されています。朝に摂取することでより肌を守ってくれる作用が期待できるでしょう。また、ハスカップの色素成分であるアントシアニンも抗酸化作用を持ち、目の健康に役立つ効果があります。果汁にはクエン酸やリンゴ酸が豊富で、疲労回復に効果的です。

 ほかの面白い研究では歯肉線維組織の細胞を用いてハスカップ抽出物を投与したところ、酸化ストレスや炎症を抑えられたという報告も。ハスカップは歯周病予防にも役立つといえるでしょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

関連記事