科学が証明!ストレス解消法

スマホの“ムダ見”を回避するには離れた場所に置き場をつくる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ついついスマホを見てしまい、ダラダラしてやるべきことを後回しにしてしまう。そういった経験は誰にでもあると思います。

 どうすれば、ダラダラとスマホを見ず、やるべきことに取り組めるでしょうか? 手の届く範囲にスマホがあって見てしまうなら、スマホを手の届かない場所に置けばいい。当たり前のことを言うな、と思うかもしれませんが、「スマホが手元にある」という環境を変えるしか打開策はありません。

 そもそもスマホは、現代社会に欠かせないものになりすぎているあまり、手に取る、取らないにかかわらず、注意を分散してしまう厄介なツールと化しています。

 みなさんも、電車の中などでポケットやバッグに入っているスマホを、何の理由もないのに取り出して操作したりしませんか? まさしく、これこそスマホの恐ろしい点。手に取りやすいところにあると気になってしまい、なぜか見てしまうのです。そのため、バッグの奥深くに入れておくなど取り出しづらい状況にしておかないと、すぐに気になってしまいます。

 実際、テキサス大学オースティン校のウォードらは、何かに集中したり、意思決定をしたりする際に、スマホがそばにあるだけで、ないときに比べて注意力が散漫になってしまうと、研究(2017年)で突き止めています。

 電話が鳴ったり、メールやメッセージが届いたり、SNSが更新されていたり。スマホの中で情報が更新されているのではないか!? と気になってしまい、結果、注意力が散漫になってしまうと指摘しているのです。

 複数の作業を同時にこなすマルチタスクが苦手な人にとっては、スマホの存在が気になると、いま取り組んでいることに対して効率的に脳を使えなくなります。そこで、物理的にスマホが見られない状況をつくるしかないのです。

 たとえば、家にいるときは、移動しなければ手に取れない場所をスマホの定位置にするといったマイルールをつくると効果的です。

 想像してみてください。スマホを見るために、わざわざ移動する──。それってとても面倒だと思いませんか? こうしたひと手間は、ダラダラ対策にはとても有効です。というのも、それを取りに行く際に、「今から自分はスマホを見ようとしている」と自覚し、「本当にスマホをチェックする必要があるか?」と、脳が違う働きをし始めてくれるからです。

「やっぱり見なくていい」と判断すれば、スマホを見てしまったことで浪費したかもしれないダラダラ時間の予防につながるわけです。道具を定位置に置くクセをつけると、本当にそのために動く必要があるのかと、頭で考えられるようになります。テレビのリモコンなどにも応用できますね。

 もし、あなたがスマホをはじめ、何かに気を取られダラダラしてしまいがちなら、ひと手間が求められる環境づくりを普段から心がけてください。そのワンクッションが、ダラダラを未然に防いでくれるはずです。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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