時間栄養学と旬の食材

【キャベツ】大きめの葉3枚で1日分のビタミンC 胃壁を守る効果も

キャベツ
キャベツ(C)日刊ゲンダイ

 一年中、使い勝手の良いキャベツ。じつはキャベツの旬は大きく分けて3つあるのはご存じでしょうか。4~6月に取れるのが春キャベツで、新キャベツと呼ばれることもあります。葉っぱが柔らかく、巻きがゆるやかなのでサラダや漬物など生食で食べるとおいしいです。反対に11~3月に取れるのが冬キャベツです。葉っぱが硬く、巻きもギュッとしていますし、煮込むと甘みがあるので、スープや煮物などの加熱調理向きと言えるでしょう。そして、今の時期、7~10月に出回るのが夏秋キャベツ。高原キャベツとも呼ばれるもので、なんと春キャベツと冬キャベツのいいとこ取り! 葉は厚めでも柔らかく甘みがあり、生でも加熱でもおいしく召し上がっていただけます。

 そんなキャベツに含まれる栄養素で特徴的なのはビタミンの豊富さでしょう。コラーゲンの生成に欠かせないビタミンCは特に豊富で、キャベツの大きめの葉3枚分で大人が1日に必要なビタミンCが取れてしまいます。

 注目すべきはキャベツから取れたため、その名がついたとされるキャベジンです。ビタミンUとも呼ばれ、「U」は「ulcus(潰瘍)」の頭文字。潰瘍を防ぐビタミンという意味があるのです。胃の調子を整える作用が大変強く、胃の粘膜のムチン層の量を増やしてくれたり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍によって傷ついた胃壁の修復に役立つと報告されています。また、キャベジンを摂取することでアレルギー反応が起こる原因物質のヒスタミンを抑える働きを持つとの報告もあります。

 その他にも、キャベツには腸内環境を整えてくれる豊富な食物繊維、がん抑制効果のあるイソチオシアネート、発がん性物質を抑制するペルオキシダーゼという酵素が含まれていることから、がんの予防、特に膀胱(ぼうこう)がんや肺がんに効果的と報告されています。

 ビタミンCやキャベジン、酵素類は加熱に弱い性質を持っています。これらの栄養素を効率良く取るには生で食べることが望ましいので、もし加熱する場合はさっと茹でたり炒めたりするとよいでしょう。

 煮物やスープのようにコトコト煮る場合でも食物繊維はしっかり取れているので、目的に応じて調理法を変えてみるといいですね。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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