サトウキビを搾ってそのまま固めた砂糖を「黒糖」と呼びます。沖縄県や鹿児島県で多く生産されていて、沖縄料理の豚の角煮にも欠かせない砂糖になっています。砂糖の種類は分蜜糖(精製糖)と含蜜糖の2つに大きく分けられますが、分離して精製した分蜜糖と比較して、含蜜糖はビタミンやミネラルなどの栄養素を多く含む砂糖ともいえるでしょう。
日本に初めて黒砂糖が持ち込まれたのは奈良時代。薬の目録に、「蔗糖(しょとう)」というサトウキビから作った砂糖を意味する言葉があるので、現在の甘味料としての利用はされておらず、貴重な薬のひとつとされていたことがわかります。その後、奄美大島で黒砂糖の製造技術が発達して本格的に生産が開始され、江戸時代に生産量が拡大していったそうです。
古来、薬ともされていた黒糖には、さまざまな健康効果が報告されています。豊富に含まれる栄養素の中でも、骨や歯の形成を促すカルシウムは100グラム中240ミリグラム、体内の塩分を体外に排出する役割を持つカリウムは1100ミリグラムで、糖類の中でもトップクラスといえます。
時間栄養学と旬の食材