漢方薬も薬ですから、副作用がまったくないわけではありません。ただし、西洋医学の薬に比べ発生の頻度や重症化のリスクはいずれも低く、比較的安心だとはいえます。
実際よく見られる漢方薬の副作用も、胃もたれをはじめとする胃腸症状、発疹や痒みといった皮膚のアレルギー性症状など、比較的軽いものが大半です。
ただごくまれに重大な副作用を起こす場合があるので注意が必要です。例えば多くの漢方処方に入っている生薬の甘草。その主成分であるグリチルリチン酸が原因で血圧の上昇やむくみが見られる「偽アルドステロン症」があります。
生薬の柴胡を含む漢方処方や、2種類以上の漢方処方を服用する場合に比較的みられる「肝機能障害」。そして風邪や不安神経症、慢性肝炎などによく用いる小柴胡湯で起こる「間質性肺炎」などです。
東洋医学を正しく知って不調改善
漢方薬にも副作用はあるのか? まれに重大な症状が起こる場合も
ではそもそも副作用が起こる原因はなんでしょうか。まず挙げられるのが、患者の体質や体力、自覚症状、他覚所見を含んだ東洋医学的診断結果である「証」に合わない漢方薬を服用したためというのがあります。そして附子(トリカブト)や大黄、センナなど作用の激しい生薬の入った処方による副作用、さらには自然由来の植物性生薬成分などによるアレルギーもあります。
ではこれら副作用を防ぐにはどうすれば良いかといえば、まず長く服用する場合は定期的に肝機能の検査を受けることをおすすめします。そして複数の漢方処方を飲む場合や西洋医学の薬と併用される場合は、必ず専門の医師や薬剤師に相談することです。
その上で、日々の体調をセルフチェックし、いつにない胃もたれや、下痢、湿疹、痒み、疲れるほどのことをしていないのに疲労感が続いている、などの症状が現れた場合は副作用を疑い、放って置かずに専門の医師に相談することをおすすめします。