マスクを着用することは、ウイルス感染者からの飛沫(ひまつ)拡散を防ぎ、感染症の流行を抑えることができると考えられています。無症状や軽症例が多い新型コロナウイルスのオミクロン変異株では、多くの人がマスクを着用することで、感染リスクを減らせる可能性が高まります。
一方で、マスクの有効性を疑問視する声も少なくありません。日本では、マスクを着用する人が多いにもかかわらず、新型コロナウイルスの新規感染者が急増したことも、反マスク論に拍車をかけているようです。
新型コロナウイルス感染症の予防に対するマスクの効果については、2022年1月14日付で「サイエンス誌」(米国科学振興協会が発行している科学誌)に報告された研究論文が参考になります。
バングラデシュで行われたこの研究では、600カ所の村に在住している34万2183人が対象となりました。
被験者に対してマスクの有効性に関する情報提供や、マスクの無償配布を行うマスク推奨グループと、マスクの着用に関して何も行わないグループに、村単位でランダムに振り分けられ、マスクの着用率や新型コロナウイルス感染症の発症割合などが比較されています。
その結果マスクの着用率は、何も行わないグループで13.3%、マスク推奨グループで42.3%と、マスク推奨グループで約3倍、統計的にも有意に増加しました。また、新型コロナウイルス感染症の症状があった人は、何も行わないグループで8.6%だったのに対して、マスク推奨グループで7.63%と、統計学的にも有意に低下していました。
論文著者らは「マスク着用の推奨とマスクの無償配布は、新型コロナウイルス感染症を減らすための実用的かつ効果的な方法」と結論しています。
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