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【イクラ】豊富なDHAとEPA 体をシャキッとさせるため朝食べたい

DHAとEPAが豊富
DHAとEPAが豊富(C)日刊ゲンダイ

 プチプチとした食感が楽しい「イクラ」はロシア語で魚の卵を意味する言葉。魚卵製品全般をイクラと呼んだりするそうですが、日本では「サケの卵」を指します。サケが海から川に戻り、産卵を始めるこの時季がまさに旬! 大変人気の高い寿司ネタのひとつですが、コレステロールの影響で敬遠されている方も多いのではないでしょうか?

 そんなイクラに含まれる栄養素についてひもといていきましょう。まずは、気になるのがエネルギーです。100グラム当たり272キロカロリー。一見、高そうにも見えますが、寿司1貫当たりのネタの量は一般的に約8~10グラムなので気にする必要はなさそうです。

 比較的エネルギーが高い理由として脂質の多さが挙げられますが、イクラの脂質には積極的に取ってほしいn-3系不飽和脂肪酸のひとつであるDHAとEPAが豊富に含まれています。n-3系不飽和脂肪酸は、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防、脳や神経の働きをアップさせるためにもよいといわれている栄養素です。麻布大学の研究によると、イクラ100グラムに含まれるDHAとEPAの量は魚卵の中でもかなり多い部類であることが報告されています。EPAとDHAは、30~49歳の男性の1日当たりの摂取目安量は2.0グラムですから、イクラ40グラムでこの量が賄えるというのは朗報です。

 気になる塩分は醤油漬けで100グラム当たり1.8~2.3グラムです。さらに醤油に漬けたり、食べすぎなければ問題ありません。

 DHAとEPAは悪玉コレステロールを低下させる働きを持つこともわかっています。「日本人の食事摂取基準2020年度版」では、基本的にコレステロールを下げるためには体重の減少や運動を必須としています。備考欄に、動脈硬化を防ぐため飽和脂肪酸の多量摂取は控える旨が日本動脈硬化学会の出典として記されていますが、飽和脂肪酸は主に肉やバターなどに含まれる脂質です。

 また、日本痛風・尿酸核酸学会の基準では1日に摂取が許容されるプリン体の量は400ミリグラムとされています。イクラ100グラムには3.7ミリグラムのプリン体しか含まれないので、食べすぎさえしなければ敬遠すべき食材ではないのです。

 DHAとEPAは朝に食べることで体がシャキッと活動できるようにする効果が得られることもわかっています。朝食にぜひ召し上がってみてください。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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