尿がなかなか出ない、若い頃に比べてなんだか勢いがない……。
年を重ねるにつれて、多くの男性を悩ませる「排尿障害」。生活の質を下げないためにもなんとか改善をはかりたいものです。
加齢によって、膀胱の機能は低下します。筋肉が衰えてうまく縮まない、あるいは縮む力が弱くなるという現象が起きやすくなるのです。また、前立腺肥大症などによって尿道がスムーズに広がらず、膀胱から尿が出づらくなる場合もあります。その結果、尿が出にくい、尿が出るときの勢いが弱くなる、尿のキレが悪い、排尿時にお腹に力を入れないと出ない、残尿感があるといった症状が現れます。
中医学では、尿のトラブルは泌尿器系をつかさどる「腎」と呼ばれる臓器との関わりが深いと考えます。腎の働きによって、体内の不要な水分は尿として外に排泄されるため膀胱に送られます。
腎は加齢によってその働きが衰えるため、腎の不調は膀胱を直撃します。とくに腎に蓄えられたエネルギー源である「気」が不足すると、尿が出にくい症状が現れやすくなるのです。
改善のためには、腎の機能を高めることが重要です。また、あわせて水分代謝をアップする利尿作用のある食材も取り入れるとよいでしょう。
おすすめはひじき。薬膳の考え方のひとつである「五行説」では体の色と機能を関連付けています。腎をつかさどる色は黒。黒食材である海藻類には、腎の機能を高め生命力や気力を養うパワーがあります。
ひじきは腎の働きを強化する作用に優れているとともに、水分代謝を高めて排尿を促す作用があります。むくみが気になるときにも取り入れたい食材です。
また、ひじきは「血」を補う効果も兼ね備えています。貧血、立ちくらみ、めまいの改善にも役立ちます。さらに、薄毛や抜け毛など気になる頭髪問題にも威力を発揮。不眠や情緒不安定など心のトラブルにもおすすめで、ひじきは心身の健康維持にマルチに活躍してくれるありがたい海藻なのです。
ひじきの煮物は、お総菜の定番。そのままだけではなく、意外と多彩なアレンジが可能です。卵焼きに入れたり、まぜご飯の具にするほか、生野菜とあわせてサラダにしたり、パスタの具にするなど洋風にしてもおいしくいただけます。工夫してさまざまなメニューで取り入れてみましょう。
ひじきの排尿障害を改善する効果を高めるには、同様に腎のパワーを補うナガイモ、ブロッコリーなどを組み合わせるとよいでしょう。あわせて、利尿効果のある枝豆、トウモロコシ、緑豆もやしをプラスするとより効果的です。
また、尿の排泄を妨げるもち米やギンナンは控えるようにしましょう。
■ひじき高齢薬膳レシピ
ひじきとナガイモ、枝豆のパスタ
腎の働きを高めるひじきとナガイモ、利尿作用のある枝豆を組み合わせたレシピ。市販のひじきの煮物を使用したお手軽レシピです。バター、ゆずこしょうの風味でひじきが見事にパスタとマッチします。
【材料】2人分
●ひじきの煮物(市販品) 150グラム
●ナガイモ 5センチ
●ゆで枝豆 20粒
●パスタ 200グラム
●バター 10グラム
●レモン汁 少々
●ゆずこしょう 適量
【作り方】
パスタは袋の表示通りゆでてボウルに入れ、ひじきの煮物、5ミリ角に切ったナガイモ、ゆで枝豆、バター、レモン汁、ゆずこしょうを加えて全体を混ぜる。
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