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【紫イモ】活性酸素を抑えて肌の老化を防ぐ アントシアニンが豊富

強い抗酸化作用があるアントシアニンが豊富
強い抗酸化作用があるアントシアニンが豊富

 サツマイモの一種である紫イモは、沖縄県や鹿児島県の特産として記憶されている方も多いでしょう。サツマイモ自体は17世紀に沖縄、そして薩摩藩へ伝えられ、やせた土壌でも栽培できることからも飢饉などの食糧難を食い止める食材として奨励されたといわれています。

 紫イモの来歴ははっきりしませんが、「紅イモ」とも呼ばれる沖縄特産のヤムイモを品種改良したものが紫イモと言われ、多くは戦後に改良されていったものだそうです。

 そんな紫イモに含まれている栄養素は、当然ながらサツマイモ本来の成分にも含有するものが主になります。まず、リンゴの約5倍以上のビタミンC。ビタミンCは、デンプンによって守られるという特徴を持つので、デンプンの多い紫イモのビタミンCは加熱しても壊れにくいのです。また、食物繊維はジャガイモの2倍ともいわれ、腸内の環境を良質に整えてくれる役割があります。

 ここまでは普通のサツマイモとほとんど成分的な違いはないのですが、紫イモが特徴的なのは何といってもあの紫色です。アントシアニンと呼ばれる青紫色をしたポリフェノールの一種で、ブルーベリーや赤ワインなどにも含まれています。活性酸素を抑えてくれる強い抗酸化作用があるので、アンチエイジングや肌の老化を防ぐのに役立ちます。紫イモアントシアニンを含む化粧用クリーム(0.61ミリグラム/100グラム)を用いた実験では、紫外線予防効果が確認されています。

 また、アントシアニンの生活習慣病予防効果も期待されています。マウスの実験にはなりますが、高脂肪食を食べさせるのに併せて紫イモアントシアニン(200ミリグラム/キログラム/日)を4週間摂取させたところ、肝臓中の脂肪代謝酵素の機能がアップ! さらには、肝臓中の中性脂肪や血中脂質が改善したという報告もあります。

 健常男性を対象にした実験では、紫イモアントシアニンを7日間摂取させた後、激しい運動をさせると、摂取しなかった場合と比較して疲労による酸化ストレスや体内の炎症が抑えられたという結果もあります。

 疲労回復に最適な時間は夜です。夜の食事に紫イモを取り入れてみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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