時間栄養学と旬の食材

【牡蠣】「海のミルク」と呼ばれる理由 タウリンが豊富

「海のミルク」と呼ばれる牡蠣
「海のミルク」と呼ばれる牡蠣(C)日刊ゲンダイ

 牡蠣(かき)といえば生食、フライ、そのほかオイスターソースや牡蠣醤油などの調味料にも活用されています。牡蠣の種類は大きく分けて2つ。真牡蠣と岩牡蠣です。真牡蠣は10~4月ごろ産卵時期に入るため、冬においしい牡蠣として食されています。一方、岩牡蠣の旬は5~9月で夏に旬を迎えます。また、最近では真牡蠣の品種改良が進み、一年中、おいしい旬の牡蠣に巡り合うことができるのです。

 牡蠣の音を“賀喜”や“嘉喜”と読み替え、福をかき込むイメージがあるため縁起が良い食べ物とされ、ハレの日にもよく使われます。

 そんな牡蠣ですが、別名「海のミルク」と呼ばれるほど、たくさんの栄養素をバランスよく含んでいます。中でも注目したいもののひとつに疲労回復効果の高いタウリンがあります。肝臓の機能を正常にしたり、コレステロールを下げたり、血圧を下げる効果などもあるので、二日酔い予防や高血圧、高コレステロールの方におすすめです。

 また、同量のウナギの10倍といわれるビタミンB12や、マグロと同量含まれる鉄分は貧血の予防に役立ちますし、味覚を正常に整える亜鉛は食品の中でもトップクラス! 牡蠣エキスに含まれる亜鉛がストレスを軽減する可能性があるとの報告もあります。

 筋肉や肝臓に蓄えてエネルギーとして使われるグリコーゲンも豊富です。真牡蠣の夏と冬のグリコーゲン量を比較した場合、冬の方が10倍も高い報告があることからも、これから採れる牡蠣はまさにスタミナの宝庫になりそうです。

 このグリコーゲンと牡蠣、近年は腸内細菌叢(そう)との関わりもあることがわかってきています。マウスやラットの実験にはなりますが、牡蠣のエキスを投与したところ、腸内の善玉菌の割合がアップすることが報告されています。しかも、高脂肪食や低脂肪食、両方を食べていたとしても同様の結果が得られるので、普段の食生活が少し荒れていても腸活効果があるのはうれしいですね。

 疲労回復のためには夜が効果的でしょう。ただし、夜間は脂質の代謝が落ちる時間帯。遅めの夕食であれば、フライよりもポン酢ともみじおろしなどでさっぱりといただくのがおすすめです。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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