アメリカの若者の7割以上はストレスで疲れ切っている、4割がメンタル症状の診断経験があるなど、問題は深刻です。彼らが助けを求めているのが、メンタルをテーマにしたポッドキャストです。
ポッドキャストは、アップルやスポティファイなどのサブスクを中心に発信される、音声メディアです。日本ではまだまだですが、アメリカには150万ものポッドキャスト番組があり、全人口の4割が聴いていて、その数は毎年10%近く伸びています。特に10〜20代前半のZ世代の聴取は、過去1年で1.5倍に増えました。
人気の理由は、ポッドキャストがスマホアプリで聞けるパーソナルなメディアだからです。映像など余計な情報がなく、言葉がストレートに入ってくるというのは、ラジオとよく似ています。しかもYouTubeのように手軽に自分の番組を発信することも可能。
若者にとってポッドキャストは、本音をぶつけられる安全地帯でもあるようです。スポティファイの調べでは、18〜24歳の過半数が、個人的な難問を親に相談する前に、ポッドキャストを聴いて解決しようとしているそうです。トピックとして若者世代の最大の関心事であるメンタルが注目されるのは、自然な流れといえるでしょう。
では最後にメンタルに関するアメリカのポッドキャストを3つ紹介しましょう。
【ハッピネス・ラボ】
最新で最高のものを所有したり、理想の社会集団に帰属しようとするなど、わたしたちが幸福度を高めようとして行う事は、実は逆効果であることが多い。では本当の幸せとは何かを解き明かす、心理学者でイエール大学教授のローリー・サントス博士の授業を元にしたポッドキャスト。
【メンタル】
メンタルヘルスに対する偏見やスティグマをなくそう、というスローガンで、いじめや不安から、文化や芸術など幅広いテーマで、メンタルが特殊なものではなく、誰もが直面する心の状態を共有していこうというプログラム。
【メンタル・ヘルス・アライアンス】
5人の高校生が主催。取り上げるのは思春期の揺れ動く感情、自信のなさ、友達や学校の圧力などの問題。「そのすべてに疲れ果ててもいい」というメッセージを発信しながら、対処する方法を語り合うポッドキャスト。
日本でも、今後はメンタルをテーマにしたポッドキャストが増えていくかもしれません。
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