冬を健康的に乗り切る 「免疫力アップ」と「減塩」がポイント

プロバイオティクスはヨーグルトや乳酸菌飲料などの発酵食品に含まれる
プロバイオティクスはヨーグルトや乳酸菌飲料などの発酵食品に含まれる

 今年も残すところ2カ月。健康的に過ごすため、栄養面で押さえておきたいことを、野口医学研究所の管理栄養士、中西真悠さんに聞いた。

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 これからの季節、注意が必要なのがインフルエンザだ。

「対策として、免疫力アップの食生活を心掛けるべきです。そのためには、腸内に善玉菌を増やして腸内環境を整えることが重要です。キーワードとなるのが、プロバイオティクスとプレバイオティクスです」

 プロバイオティクスとは「腸内フローラのバランスを改善することによりヒトに有益な作用をもたらす生きた微生物」。ビフィズス菌、乳酸菌などが挙げられ、ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆や味噌、漬物などの発酵食品に含まれる。摂取した菌は腸内にすみ着いたり、増殖したりすることはないため、毎日続けて取ることが重要。

 一方、プレバイオティクスは「もともと腸内に存在する善玉菌に“エサ”を与えることで善玉菌の増殖を促進させ、人体に良い影響を与える難消化性の食品成分」。

 プレバイオティクスにはオリゴ糖がよく利用されている。オリゴ糖は食品にも含まれており、オリゴ糖を多く含む食品として、大豆、タマネギ、ゴボウ、ネギ、バナナなどがある。

 免疫力向上には、基礎体温が関わっていることも忘れてはいけない。免疫細胞が正常に働ける体温は36.5度である。しかし現代人は、平熱が36度以下という低体温の人も増えている。

「起きたら速やかに体温を上げ、高い体温をキープしたまま1日を過ごしましょう。そのためには朝食を取ることが大切です。内臓が動き出し、代謝が上がり、体温が上がります」

 朝食をこれまで取っていなかった人は、牛乳や豆乳などの飲み物でもいいので、何かを口にするところから始める。普段から朝食を取っている人は、体を温める食材を選ぶようにする。

「ニンジン、里芋、カボチャ、レンコン、サケといった冬が旬の食材は体を温めます。生姜、ニンニクといった、体を温める作用のある香味野菜を使うのも手でしょう」

 免疫力アップとして、朝は生姜入り味噌汁やバナナ&ヨーグルトを取り入れてはいかが。味噌汁はダシを取らなくても、器に鰹節と味噌を入れ、お湯を注ぐだけでもいい。夜は、サケや根菜類にキムチを加えた鍋など、簡単で継続しやすいものを取り入れることがおすすめ。

■無理なく実践できる5つの減塩法

「冬にもう一つ意識して欲しいのは、減塩です。血圧上昇の大きな原因が、塩分の取り過ぎです。あわせて寒くなるにつれ、血圧が上がりやすくなります。冬は少しでも血圧をコントロールしやすくするために減塩対策を強化した方が良い季節になります」

 無理なくできる減塩法として提案するのが次の5つ。

「減塩調味料&薬味、酸味、辛味の活用」「カリウムが豊富な食品摂取」「おかずの数を減らす」「醤油はスプレーボトルで」「汁物は1日1回。ラーメンやそばなどの『麺+汁もの』は1週間に数回」。

「塩気や醤油などの味付けを減らしても生姜やニンニク、ネギ、酢、七味などを加えることで、香りやスパイシーさが加わりおいしく食べることができます。カリウムはナトリウムの排出を促すので、カリウムが豊富な野菜、キノコ類、果物を積極的に取るといいでしょう」

「おかずの数を減らす」というのは、例えばホウレンソウのおひたしと野菜の炒め物の2品にするところを、おひたしに使うホウレンソウも炒め物に入れ、1品にする。

「2品だと、それぞれに味付けをするので塩分量が増えます。1品にまとめることで塩分量を減らすことができます」

 スプレーボトルは、思っている以上に減塩に役立つ。

 普段、醤油を使う際、ちょうど良い量を出せず出し過ぎになってしまうが、スプレーだと量を細かく調整できるので醤油のかけすぎを防ぎやすくなる。

 今日から実践だ。

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