時間栄養学と旬の食材

【エスカルゴ】脂肪肝の予防に最適な「ベタイン」が豊富

まさに今が旬
まさに今が旬

 エスカルゴは、フランスの郷土料理でもある食用のカタツムリのこと。ブドウの葉を餌としていたことから、シャンパーニュ、ブルゴーニュといったワインの産地で古くから飼育され親しまれてきました。日本ではそれほど馴染みがなかったのですが、近年はファミリーレストランなどでも見かける機会が増えてきていますし、繁殖が難しいといわれていたものの、三重県の松阪市で味と大きさともに最高級とされるヘリックスポマティアの養殖に成功しています。

 最も美味とされるのは、休眠して膜を殻に張っている越冬の時期とされ、まさに今が旬のはしりになります。

 そんなエスカルゴに含まれる栄養素に、うまみ成分のひとつであるベタインがあります。肝臓へ脂肪が沈着するのを防ぎ、脂肪の排出を促進する作用があることがわかっているので、脂肪肝の予防に最適な栄養素といえるでしょう。また、アルコールによる肝臓への損傷を妨げる効果がラットを使った実験でもわかっています。さらには、抗酸化作用についての研究もなされています。

 ベタインに加え、鶏肉に多く含まれるカルノシン、ナッツ類や油脂類、魚介類などに多く含まれるビタミンEの組み合わせで、肝臓、心臓、脳を調べたところ、肝臓での抗酸化作用が強く出たことがわかりました。つまり、肝臓のアンチエイジングのためには、一緒に鶏肉やナッツを取るとよいかもしれません。肝硬変や肝炎、肝がんへの進行を抑制する効果も期待されているそうなので、肝臓のアンチエイジングにはうってつけでしょう。

 そのほかにも、コレステロール代謝からその排泄を促し、動脈硬化の予防、高血圧の予防にも有用とされるタウリン、酵素の活性化や神経興奮抑制、筋肉収縮などに必要不可欠なマグネシウム、貧血予防に有用な鉄、味覚を形成するために必要な亜鉛、骨や歯を作ってくれて筋収縮などにも関わるカルシウムも豊富に含まれています。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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