サッカーのワールドカップが、20日からカタールで始まりました。
オリンピックと同様世界で注目されるワールドカップですが、今回の大会は、“過去10年で最も論争が多いスポーツイベントの1つ“と報道されています。中でも世界に衝撃を与えたのは、異常高温による移民労働者への健康被害です。
特にアメリカ人が驚いたのはタイム誌の報道です。
「スタジアム建設に携わったネパールからの労働者が謎の病にかかり、母国に帰されてしまった。彼の腎臓は両方とも修復不可能なダメージを受けている。原因は高温の中での長時間の過酷な労働だったと、医師はコメントしている」
しかし彼はまだ運が良かった方かもしれません。カタールには人口の3分の2を占める200万人もの外国人労働者が住んでいます。多くがネパール、インド、バングラディシュの出身ですが、過去10年間に数千人が亡くなったと伝えられています。
NYポスト紙は、「2014年に始まったスタジアム建設では、40人の移民労働者が亡くなったと発表されているが、実際にはもっと多いと考えられている。アムネスティ・インターナショナルによれば、高温多湿の中での労働環境の劣悪さはまさに現代の奴隷制度」と伝えています。
アディダス、コカコーラ、マクドナルドなどのワールドカップの大手スポンサーにも批判の目が向けられています。こうした状況が早急に改善されるべきという声明を出すのみに止まっているからです。
苛烈な環境をさらに悪くしているのが気候変動です。タイム誌によれば、ワールドカップ開催が決まった12年前に比べて、カタールの平均気温は0.8度近く上昇しました。
気候変動は地球上の多くの地域に貧困をもたらし、移民労働者の数は今後さらに増えると予想されています。この大会をきっかけに労働環境は改善されるのでしょうか。
ニューヨークからお届けします。